海老原嗣生

海老原 嗣生（えびはら つぐお）

1964年11月29日生まれ。経営コンサルタントであり、編集者としての顔も持つ。株式会社ニッチモの代表取締役を務めるほか、株式会社リクルートエージェントのソーシャルエグゼクティブや、株式会社リクルートワークス研究所の特別編集委員、さらには大正大学表現学部の特命教授といった要職を兼任している。

来歴

海老原氏は麻布高等学校を経て、上智大学経済学部を卒業した。社会人としてのキャリアはリコーからスタート。その後、リクルートエイブリックに移籍した。リクルートグループでは、新しい事業の立ち上げや人事制度の設計に深く関与。特に、同社系列であるリクルートワークス研究所が発行する隔月刊誌『Works』では、1995年より編集長の任に就いた。2008年には、人材コンサルティングを手がける自身の会社、株式会社ニッチモを設立し、代表取締役に就任する。同時に、リクルートエージェントにおける初のフェロー社員として、非売品の季刊誌「HRmics」の編集長も務めることになった。

主義・主張

海老原氏は、日本の雇用システム、特に新卒一括採用を取り巻く議論に対して、鋭い批判を展開している。不景気になれば「学生が就職できない」と騒がれ、好景気では「学生が採れない」と騒がれる。その都度繰り返される議論が、採用時期の調整論や、曖昧だとされる日本企業への批判、そして職種別採用を行う欧米企業を理想とする礼賛論といった表面的なものに終始している現状を問題視している。彼は、これらの議論が抱える危うさを指摘する。著書『お祈りメール来た、日本死ね 新卒一括採用と雇用システム』などでは、日本企業の採用が抱える問題は、個別の改善ではなく「制度的補完性」、すなわち雇用システム全体の構造的な視点から議論されるべきだという立場を明確にしている。また、日本の課題に対する解決策を、安易な欧米モデルの模倣や表面的な借り物に見出そうとする試みには効果がないと警鐘を鳴らしている。氏の論理展開は独自の視点に基づいており、全ての数学の定理が「1+1=2」や「平行線は交わらない」といった二つの公理から成り立っているとするかのごとく、基本的な原則から雇用問題を解き明かそうとする姿勢が見られる。

著書

海老原氏は、雇用や就職に関する数多くの著書を世に送り出している。代表的なものとしては、『雇用の常識「本当に見えるウソ」』（プレジデント社、ちくま文庫）、『「若者はかわいそう」論のウソ』（扶桑社新書）、『お祈りメール来た、日本死ね 新卒一括採用と雇用システム』（文春新書）などがある。これらの著書では、現代日本の雇用慣行、就職活動の実態、キャリア形成、さらには大学の教育力といった幅広いテーマについて、独自の視点と実証的な分析に基づいた提言を行っている。特に日本型雇用システムの成り立ちやその課題、欧米型との比較については多くの著作で詳細に論じている。

これらの活動を通じて、海老原氏は日本の労働市場や雇用システムに関する議論に大きな影響を与え続けている。

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