海老名リン

海老名リン：会津の幼児・女子教育に捧げた生涯

海老名リン（1848年 - 1909年）は、明治時代に会津地方の幼児教育と女子教育に大きく貢献した人物です。会津藩士の娘として生まれ、激動の時代を生き抜きながら、教育者として地域社会に貢献しました。

激動の時代

リンは嘉永元年（1848年）、会津藩士である日向新介の娘として誕生しました。17歳で同じく会津藩士の海老名季昌に嫁ぎます。夫の季昌は戊辰戦争で家老に昇進し、会津若松城籠城戦で指揮官を務めました。しかし、入城は叶わず高田へ避難。その後、開城を経て、季昌は東京で謹慎生活を送り、リンは家族とともに斗南へ移住することとなります。

キリスト教との出会い

夫の季昌は警察官、地方官として各地を転々とします。明治15年（1882年）に、リンは34歳で初めての子を授かりました。明治21年（1888年）には、霊南坂教会で綱島佳吉から洗礼を受け、キリスト教徒となります。しかし、季昌はキリスト教への入信に反対し、夫婦の間に意見の相違が生じました。それでもリンは信仰を貫き、矢嶋楫子が会頭を務める日本キリスト教婦人矯風会の副会頭に就任。さらに、湯浅初子が経営していた幼稚園を引き継ぎ、保母の資格を取得しました。

会津での幼児教育・女子教育への貢献

明治25年（1892年）、リンは夫と共に若松町へ帰郷。翌年には若松に幼稚園を設立しました。これが現在の若松幼稚園です。当初は8名だった園児はすぐに40名を超え、分園も設置されるほどでした。

幼稚園の設立後、明治26年（1893年）には本科と裁縫科を有する私立会津女学校を設立し、女子教育を開始しました。会津女学校は、明治42年(1909年)に県に移管され県立会津高等女学校となり、現在の福島県立葵高等学校へと発展しました。若松幼稚園は、リンの長女が経営を受け継ぎました。

夫・海老名季昌の理解

リンが信仰を貫く一方で、当初は入信に反対していた夫の季昌も、明治36年（1903年）に若松基督教会（現在の日本基督教団会津若松教会）の信徒となり、正式にキリスト教徒となりました。季昌は最後の若松町長として、市制移行に尽力しました。

海老名リンは、激動の時代において信仰を आधारとし、会津地方の幼児教育、女子教育の発展に大きく貢献した女性です。その功績は、現在の若松幼稚園や福島県立葵高等学校の礎となっています。

参考資料

小島一男『会津人物事典（女性編）』歴史春秋社
小島一男『会津人物事典（武人編）』歴史春秋社
『日本女性肖像大事典』日本図書センター
『日本女性人名辞典』日本図書センター

外部リンク

会津人物伝 海老名リン - 会津若松市
八重のふるさと福島県 - 福島県
湯浅初子 - コトバンク
矯風会創設の頃 - 財団法人日本キリスト教婦人矯風会

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