矢嶋楫子

矢島楫子（やじま かじこ）

矢島楫子（1833年6月11日 - 1925年6月16日）は、日本の女子教育者、社会事業家として、明治・大正時代に活躍しました。

生い立ちと結婚

肥後国（現在の熊本県）に生まれた楫子は、幼少期から向学心に燃え、姉の影響を受けながら成長しました。25歳で林七郎と結婚するも、夫の酒乱に苦しみ、離婚を決意。この経験が、後の社会活動に大きな影響を与えました。

上京と教育者としての道

上京後、教員伝習所を経て小学校教員となり、破格の待遇で採用されます。その後、キリスト教に入信し、教育者として後半生を捧げることを決意しました。アメリカ人宣教師マリア・ツルーとの出会いが、楫子の人生を大きく変えることになります。

女子教育への貢献

新栄女学校の教師となった楫子は、後に櫻井女学校の校主代理に就任。1890年には、女子学院の初代院長に推挙され、女子教育の発展に尽力しました。聖書の教えに基づいた教育方針は、多くの生徒たちに感銘を与えました。

婦人矯風運動への参加

結婚生活の苦悩や教育現場での経験から、楫子は婦人矯風運動（禁酒運動）に積極的に参加するようになります。東京キリスト教婦人矯風会の初代会長に就任し、一夫一婦制の確立や海外醜業婦の取り締まりを政府に訴えました。その活動は国内にとどまらず、海外にも広がり、万国矯風会での講演やルーズベルト大統領との会見も果たしました。

その他の活動と晩年

楫子は、高齢になっても精力的に活動を続けました。軍縮会議に平和を祈る婦人の心を伝えようと渡米するなど、その情熱は衰えることがありませんでした。1925年、92歳でその生涯を閉じましたが、楫子の遺志は、久布白落実などの後継者たちによって受け継がれています。

人物像

「光線」というあだ名で呼ばれるほど、生徒たちからは畏敬の念を持たれていました。しかし、厳しいだけでなく、経済的に困難な生徒には学費を援助するなど、慈愛に満ちた一面も持ち合わせていました。皇后誕生日を祝日にするなど、日本文化を重んじる姿勢も持ち合わせていました。

矢島楫子の影響

矢島楫子の生涯は、日本の女子教育と社会福祉の発展に大きく貢献しました。女性が社会で活躍することが困難だった時代に、自らの信念を貫き、多くの女性たちの模範となりました。その功績は、現代においても高く評価されています。

親族

姉：竹崎順子（教育者）
姉：徳富久子（徳富蘇峰・徳冨蘆花の母）
姉：横井つせ子（横井小楠の後妻）
姪：湯浅初子（社会運動家）
姪：海老名みや子（教育者）
姪孫：久布白落実（社会運動家）

関連作品

テレビドラマ：四賢婦人 矢嶋楫子とその姉たち 〜女性の扉を開けた信念の人〜
映画：われ弱ければー矢嶋楫子伝

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