海軍特別年少兵

『海軍特別年少兵』

『海軍特別年少兵』は、1972年8月12日に日本で公開された映画で、東宝が制作を担当しました。この作品は、東宝創立40周年を記念するものであり、「東宝8.15シリーズ」としての最後の作品となっています。映画の地味ながらも深いメッセージは、豪華な俳優陣や特撮に頼らず、リアリズムに基づいた反戦のテーマを強く打ち出しました。

あらすじ

物語の舞台は昭和18年6月、神奈川県三浦郡武山村にある横須賀第二海兵団です。ここに、まだ幼さの残る14歳の少年たちが特年兵として入隊します。彼らは様々な理由から軍に参加しており、中には孤児や母子家庭の子どもたち、争いで戦死した名誉を称えようとする者たちがいます。指導役となる工藤上等兵曹は、最初は彼らを一人前の軍人に育てることだけを考えていましたが、次第に彼らの兄のような存在となって温かく見守るようになります。

しかし、ある事故をきっかけに工藤は、最前線への転任を希望します。特年兵たちも訓練を終え、共に硫黄島に配属されることとなります。状況は厳しく、敗北が見え始めている中で、工藤は特年兵たちに突撃を思いとどまるよう説得します。しかし、彼らはその言葉を振り切って敵の陣地へ突入していきます。この場面では、彼らの無垢な勇気と戦争の残酷さが starkly 対比され、観る者に深い印象を残します。

スタッフとキャスト

この映画は、監督今井正の下、製作には望月利雄と内山義重が関わっています。脚本は鈴木尚之によって書かれ、撮影は岡崎宏三が担当しました。音楽は佐藤勝が手がけており、作品全体に独特の雰囲気を与えています。出演者には、工藤上等兵曹役を演じる地井武男を始め、佐々木勝彦、福崎和宏、小川真由美、三國連太郎など、実力派の俳優たちが顔を揃えています。

評価と影響

この作品は、戦争の恐怖と特年兵たちの成長を描いたことから、公開当初から高い評価を受け、キネマ旬報ベストテンにもランクインしました。また、異なる背景を持つ少年たちが一つの目的のために集まり、互いに支え合いながら成長していく様子は、観客に深い共感を呼び起こします。

まとめ

『海軍特別年少兵』は、単なる戦争映画ではなく、若者たちの純粋な心や葛藤、友情を描いた作品です。戦争の現実と向き合うことの重要性を訴え、観る者に強いメッセージを伝える一作として、今なお特別な位置を占めています。

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