海野光弘

海野光弘について

海野光弘（うんの みつひろ）は、1939年11月19日に静岡県静岡市で生まれた、日本の木版画家です。彼の作品は、日本の風景や古民家をテーマにし、独特な色合いと構図で多くの人々の心をつかみました。

生い立ちと教育

海野は静岡市新富町にある家業の染色業を営む家庭に生まれ、次男として育ちました。1952年、彼は静岡市立末広中学校に入学し、そこで版画に出会います。1年生のときに描いた版画が教師の目に留まり、教諭である蒔田晋治から版画の世界に導かれることになりました。この出会いが、彼の人生における重要な転機となります。

その後、静岡商業高校を卒業した海野は日立製作所東京本社に就職しますが、20歳になった1959年に退職し、本格的に版画家としての活動をスタートさせました。同年、静岡市内で初めての個展を開いております。そこから彼の作品は次第に注目を集めるようになりました。

作品と受賞歴

1964年には、彼の作品「触」が日本版画協会賞奨励賞を受賞し、名実共にその才能が認められました。さらに、彼は1972年に静岡県芸術祭賞を受賞し、1977年にはスイス美術賞展で「縁通し」という作品に対して優秀賞を得るなど、多くの受賞歴を有します。

海野の版画スタイルは、黒地の版にさまざまな色の版を重ねて刷る陰刻法による多色刷りです。彼は日本各地を巡りスケッチを行い、それを元に古民家や里山、農村など、日本の原風景を表現しました。特に、彼の作品からは懐かしさや温かみを感じることができ、多くの人に愛されています。

短命のアーティスト

しかし、1979年9月、海野は突然脳出血に見舞われ、39歳という若さでこの世を去ってしまいます。この早すぎる死は、多くの支持者들에게衝撃を与えました。彼の独特な視点と技術は、彼が生存していたごく短い期間においても、多大なる影響を与えていたことは間違いありません。

海野光弘版画記念館

彼の逝去後も、彼の芸術の評価は衰えることがなく、1993年には静岡県島田市の島田市博物館で『海野光弘木版画展』が開催されました。この開催を契機として、海野の夫人から全ての版画作品が島田市に寄贈されることになりました。それを受け、2000年に海野光弘版画記念館が開設され、今もなお彼の偉業を称え、彼の作品を多くの人々に提供しています。

参考文献

• - 海野光弘版画作品刊行会・海野花告枝『四季・春-海野光弘の木版画作品Ⅰ-』（2000年）。

関連施設

• - 海野光弘版画記念館：海野光弘の業績を記念し、その作品を展示している博物館の分館。
• - 海工房（かいこうぼう）：海野の夫人が運営する個人画廊で、海野の画集や作品が販売されています。

もう一度検索