海野氏幸

海野氏幸の生涯と武将としての功績

海野氏幸（うんの うじゆき）は、室町時代後期に活躍した信濃国の武将であり、海野氏の当主です。彼の幼名は亀千代丸で、父は海野持幸、子は幸棟、そして孫には海野氏最後の当主である棟綱がいます。海野氏は、小県郡と佐久郡を拠点とする信濃の有力国人衆、滋野三家の嫡流として知られ、その支族は筑摩郡や駿河などにも広がっていました。

家系と初期の活動

室町時代において、海野氏は信濃守護である小笠原長秀を追放し、その後も地域の武力を背景に名声を保ちました。特に、結城合戦では一族を引き連れ、武功を挙げたことから、海野氏の名はますます広まりました。

康正3年（1457年）、氏幸は諏訪大社上社における御射山頭役に任じられ、名を「海野亀千代丸」として表記されました。この役職では三貫三百文を担う重要な責任を果たしました。

しかし、応仁の乱が始まると、畿内だけでなく信濃でも国人同士の抗争が激化し、特に小県郡では海野氏と村上政清との間に激しい対立が生じます。寛正4年（1463年）には氏幸として初めての諏訪御射山頭役を勤めましたが、応仁元年（1467年）10月18日に行われた合戦において村上政清に敗北し、重要な所領を失ってしまいました。この戦いは「海野大乱」と呼ばれ、海野氏にとって非常に厳しいものでした。

抗争と分裂

その後も村上氏の侵攻は続き、応仁2年（1468年）には海野氏の千葉城が攻め囲まれ、劣勢に立たされることとなりました。一連の抗争によって、海野氏に従っていた小県郡北部の曲尾氏や横尾氏、半田氏などの家臣も離反し、海野領は次第に衰退の道をたどることになります。

文明元年（1469年）の御射山頭役では氏幸の名は記されず、代わりに深井滋満がその役職につきました。これにより、氏幸は政清の侵攻に対し、苦労しながらも何とか領国を維持している様子が窺えます。文明7年（1475年）には再び諏訪社に対して三十貫文を納めましたが、抗争の影響が明らかでした。

文明12年（1480年）と文明14年（1482年）には、御射山頭役に再度名を連ねることができましたが、彼の力がかつてのものに戻ることはなく、村上氏との抗争は続いていました。特に文明14年には、守矢満実に太刀二振りを贈るなど、信仰心を表す行動も見せています。

最後の活動と影響

氏幸の代では、彼が頻繁に諏訪社の頭役に就任するなど、代々の海野氏当主が果たしてきた役割を継承できたことが示されます。しかし、村上氏との抗争によって勢力は縮小し、さらに後の天文10年（1541年）の海野平の戦いへと繋がっていきました。

『海野歴代記』では、応仁元年に氏幸が村上氏に敗死したと記されていますが、実際にはその後も活動を続けており、この記録は誤りです。小県東部町には、氏幸と思われる人物が応仁元年の10月18日に死去したという証拠が残されており、抗争が非常に激しかったことを後代に伝えています。このように、氏幸は信濃国における武将としての重責を負い、彼の活動は後世の歴史にも影響を及ぼしました。

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