小県郡

小県郡：長野県東部の歴史と変遷

小県郡は、長野県東部に位置する郡です。2024年10月1日時点での推計人口は9,120人、面積は240.96平方キロメートルで、人口密度は37.8人/平方キロメートルです。現在、青木村と長和町の1町1村が属しています。

古代からの歴史

小県郡という地名は古く、正倉院文書に「信濃国少県郡芥子壹㪷　天平十三年十月」という記述が見られるのが、現存する最古の記録とされています。この記録から、少なくとも奈良時代には既に小県郡が存在していたことが分かります。

和名類聚抄には、小県郡に属する郷として童女、山家、須波、跡部、安宗、福田、海部、余部といった地名が記載されています。これらの郷は、後の村落の基礎となったと考えられています。また、『延喜式神名帳』には、郡内の式内社も記録されています。これらの史料から、古代の小県郡の様子を垣間見ることができます。

近世以降の変遷

近世においては、小県郡の地域は幕府領や藩領などに分かれていました。明治維新後、いくつかの府県統合を経て、明治11年（1878年）に長野県に編入されました。明治12年（1879年）の郡区町村編制法施行により、行政区分としての小県郡が発足。郡役所が上田町に設置されました。

その後、明治22年（1889年）の町村制施行により、多くの村が誕生しました。この時、上田町、長久保新町、長窪古町、滋野村などが成立しました。その後も、合併や町制施行、市制施行などが繰り返され、郡の区域や行政単位は幾度となく変化を遂げました。

特に、昭和20年代から昭和40年代にかけては、多くの町村合併が行われ、小県郡の行政単位は大きく変化しました。この期間には、東塩田村と富士山村の合併による東塩田村の発足、県村の町制施行による田中町の発足、そして多くの町村が上田市などに編入されるなど、大きな変動が見られました。

平成期に入っても、合併は続きました。平成16年（2004年）には、東部町と北御牧村が合併して東御市となり、小県郡から離脱しました。平成17年（2005年）には、長門町と和田村が合併して長和町が発足しました。そして、平成18年（2006年）には、丸子町、真田町、武石村が上田市に編入され、小県郡は現在の1町1村の体制となりました。

現在の小県郡

現在、小県郡には青木村と長和町の2つの自治体があります。かつては上田市周辺に多くの町村が存在していましたが、平成の大合併を経て、現在の規模となっています。小県郡の歴史は、長野県東部の地域変遷を理解する上で重要な要素であり、その複雑な歴史的背景を知ることで、現代の地域社会の姿をより深く理解することができるでしょう。

小県郡の行政

小県郡の歴史を紐解く上で、郡長などの行政組織の変遷も重要な要素となります。郡長は郡政の中枢を担い、地域の発展に大きく貢献しました。その功績は、郡域の変遷と並んで、小県郡の歴史を語る上で欠かせないものです。

この小県郡の歴史は、日本の地方自治体の変遷を縮図として示しており、合併と統合を繰り返し、現在の姿にたどり着いた歴史的な過程は、現代社会を考える上で重要な視点を与えてくれます。

参考文献

『長野県史 近代史料編 第2巻 郡政』
「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』 20 長野県、角川書店、1990年7月1日。ISBN 4040012003。
旧高旧領取調帳データベース
長野県公式ホームページ
小県郡 編『小県郡史. 余篇』小県時報局、1923年。
信濃教育會小縣部會 編 編『長野縣小縣郡地圖』信濃教育會小縣部會、1922年。

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