海難1890

映画『海難1890』の概要

『海難1890』は、2015年に公開された日本とトルコの合作映画で、両国の友好125周年を祝う作品として制作されました。この映画は、1890年に発生したエルトゥールル号の遭難事件と、1985年にイラン・イラク戦争中にテヘランに取り残された日本人の救出劇を描いています。

エルトゥールル号遭難事件

明治22年の1889年、トルコ帝国は日本への親善使節団をエルトゥールル号に乗せて派遣しました。この艦船は当時老朽化が進んでいましたが、無事に日本に到着し、使節団は明治天皇に謁見します。しかし、艦内でコレラの感染者が出たために、帰国が延期されました。士気を保つために行われた甲板でのレスリングでは、ムスタファ機関大尉がベキル兵曹と友情を育んでいます。

1890年9月、エルトゥールル号は帰途につくため横浜港を出航しますが、台風によって紀伊大島沖で座礁してしまいます。途中、機関室に海水が流れ込み、爆発の危険が迫ります。ベキルは乗組員の退艦を促し、ムスタファは甲板に向かうものの、間もなく艦船は爆発し、沈没します。この事故により、多くの乗組員が命を落とします。

紀伊大島の村民たちは台風の中、遺体の救助に奔走し、医師の田村元貞が負傷者の手当を行います。生き残ったムスタファは、仲間を失ったことへの罪悪感に苛まれますが、村民の献身的な行動を見て感謝の気持ちを抱くようになっていきます。

テヘランでの邦人救出劇

1985年には、イラン・イラク戦争が再び激化します。テヘランではイラク軍のミサイルが襲い、人々は地下避難所に逃げ込みます。そこで、日本人教師の春海はトルコ大使館の職員ムラトと出会い、彼からお守りを受け取ります。

春海は生徒たちの脱出を図り、日本大使館に向かいますが、自衛隊の救助や航空券の手配が難航します。そこでトルコ政府に救援を依頼することになり、首相のオザルが助けを承諾します。春海たちは最終的に救助機に乗り込むことができ、トルコ人の協力によって危機を脱します。

映画制作の背景

本作の企画は、串本町長の田嶋勝正が旧友である監督・田中光敏に映画化を提案したことから始まりました。素材となった文書の発見がきっかけで、この歴史的出来事を映像化することになったのです。制作は困難が続きましたが、2011年には法律の改正があり、トルコとの合作が実現しました。

本作には、実際に遭難に遭った方々の子孫や、救助にあたった乗務員の娘が出演しており、両国の友好がテーマになっています。公開による影響も大きく、観客動員数や興行成績は好調でした。

結論

『海難1890』は、悲劇的な歴史を背景にした友情と感謝の物語であり、日本とトルコの絆を深める作品です。記録的大ヒットを記録したこの映画は、両国の人々に愛され続けるでしょう。

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