消防水利

消防水利とは

消防水利とは、消防活動を行う際に使用される水利施設のことを指します。火災発生時に迅速かつ確実に消火活動を行うためには、適切な消防水利の確保が不可欠です。

消防水利の設置者と維持管理

消防水利の設置者は原則として市町村であり、維持管理も市町村が行います。ただし、水道については、水道事業者が設置と維持管理を行います（消防法第20条第2項）。水道事業者は、公共の消防のために消火栓を設置する義務があります（水道法第24条第1項）。

消防水利の種類

消防庁の「消防水利の基準」では、以下のものが例示されています。

消火栓
私設消火栓
防火水槽
河川・溝等
濠・池等
海・湖
井戸
下水道

市町村の消防長または消防署長は、池、泉水、井戸などを消防水利として指定し、常時使用可能な状態にすることができます（消防法第21条第1項）。指定された消防水利には、標識を掲げる必要があります（消防法第21条第2項）。

消防水利の容量

消防水利は、以下の容量基準を満たす必要があります。

常時貯水量が40m³以上、または取水可能水量が毎分1m³以上であること
連続40分以上の給水能力を有すること

消火栓は、呼称65の口径を有し、直径150mm以上の管に取り付けられている必要があります。ただし、管網の一辺が180m以下となるように配管されている場合は、75mm以上とすることができます。

私設消火栓の水源は、5個の私設消火栓を同時に開弁した際に、上記の容量基準を満たす必要があります。

消防水利の設置基準

消防水利は、市街地または準市街地の防火対象物から、以下の距離以内に設置する必要があります。

近隣商業地域・商業地域・工業地域・工業専用地域
年間平均風速が4m/秒未満：100m
年間平均風速が4m/秒以上：80m
その他の用途地域および用途地域の定められていない地域
年間平均風速が4m/秒未満：120m
年間平均風速が4m/秒以上：100m

市街地または準市街地以外の地域では、防火対象物から140m以内に設置する必要があります。

消火水利の配置は、消火栓のみに偏ることのないように考慮する必要があります。

十分な給水能力を持つ消防水利がある場合は、その取水点から140m以内には他の水利を設けなくてもよい場合があります。

消防水利の技術的基準

消防水利は、以下の技術的基準を満たす必要があります。

地盤面からの落差が4.5m以下であること
取水部分の水深が0.5m以上であること
消防ポンプ自動車が容易に部署できること
吸管投入孔がある場合は、その一辺が0.6m以上または直径が0.6m以上であること

外部リンク

消防法 - e-Gov法令検索
消防水利の基準（総務省消防庁告示）
* 水道法 - e-Gov法令検索

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