涙はどこへいったの

南野陽子の14枚目のシングル「涙はどこへいったの」は、1989年2月15日、CBS・ソニーより発売されました。

この曲は、JR西日本の旅行商品「WENS（ウエンズ）」のCMソングとして起用され、多くの聴き手に親しまれることとなりました。楽曲の持つ切ないメロディーと、南野陽子の透明感のある歌声が、CMの世界観と見事に調和し、大きな話題を呼びました。

さらに、「涙はどこへいったの」は、当時としては斬新な試みとして、CDの樹脂層をパープルに着色したカラーCD仕様でリリースされました。この美しい紫色は、楽曲の雰囲気とマッチし、コレクターアイテムとしても人気を博しました。前作「秋からも、そばにいて」に続く、こだわりの仕様となっています。

発売当時、南野陽子は日本テレビ系『24時間テレビ「愛は地球を救う」』のメインパーソナリティを務め、東南アジアのカンボジア（プノンペン）やタイ王国（バンコク）などを訪れていました。多忙なスケジュールの中、衛星放送による生中継で「涙はどこへいったの」を熱唱。海外から届けたその歌声は、多くの視聴者の心に深く響き、楽曲への注目度を一層高めました。

『ザ・ベストテン』や『歌のトップテン』といった音楽番組でもランクインを果たし、チャートを賑わした「涙はどこへいったの」。

楽曲制作陣は、作曲を柴矢俊彦氏、作詞を康珍化氏が担当。編曲は、南野陽子の多くの楽曲を手掛けた萩田光雄氏が担当しています。

カップリング曲には「ガールフレンド Part2」が収録されており、こちらは小倉めぐみ氏による作詞、柿原朱美氏による作曲となっています。

「涙はどこへいったの」は、南野陽子のキャリアの中でも重要な一曲であり、その時代背景や様々なエピソードと合わせて、80年代後半の音楽シーンを彩る貴重な作品として、今なお多くのファンから愛されています。

楽曲の持つ抒情的なメロディーと南野陽子の歌唱力、そして時代を反映したプロモーション戦略は、このシングルを大きな成功へと導きました。その人気は、現在でも『GOLDEN☆BEST 南野陽子 ナンノ・シングルス3+マイ・フェイバリット』などのベストアルバムに収録され、聴き継がれています。

当時を知る世代にとっては、青春時代の一つの象徴として、また、現代のリスナーにとっても、その美しいメロディーと切ない歌詞は、普遍的な魅力として響くのではないでしょうか。

「涙はどこへいったの」は、単なる一曲の楽曲ではなく、時代背景、制作陣の技術、そして南野陽子のパフォーマンスが三位一体となって生まれた、記憶に残る名曲と言えるでしょう。

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