淡海國玉神社

淡海國玉神社：遠江国の総社に伝わる歴史と文化

静岡県磐田市見付に鎮座する淡海國玉神社は、延喜式神名帳に記載されている式内社であり、かつて遠江国の国府が置かれた見付において、総社として重要な役割を担っていました。現在も地域住民から厚い信仰を集め、歴史と文化を伝える貴重な場所となっています。

多くの神々を祀る由緒ある神社

主祭神は大国主命（おおくにぬしのみこと）で、国造りの神として広く信仰されています。さらに、多くの神々が合祀されており、その歴史の深さを物語っています。

合祀された神々には、天照大御神の孫神である瓊々杵命（ににぎのみこと）と、その妻である木花之佐久夜毘売（このはなさくやひめ）がいます。皇室の祖神として知られる瓊々杵命と、美しい容姿と神通力を持つ木花之佐久夜毘売の信仰は、古くから人々の心を捉えてきました。

また、賀茂氏の祖神である鴨御祖神（かもみおやのかみ）、見付の開拓に深く関わるとされる建御名方神の御子神・須波若神（すはわかのかみ）なども祀られています。これらの神々は、地域の歴史や文化と深く結びつき、人々の生活を見守り続けてきたと言えるでしょう。

江戸時代の社殿と貴重な文化財

淡海國玉神社の社殿は、歴史的価値の高い建造物です。本殿は江戸時代初期、明暦3年（1656年）頃に造営され、三間社流造という様式で、間口5メートル、奥行き5.14メートルの規模です。その美しい姿は、静岡県指定有形文化財として高く評価されています。

幣殿と拝殿は、文久3年（1863年）に造営され、入母屋造という様式です。どちらも磐田市指定有形文化財に指定されており、歴史的建造物として大切に保護されています。本殿、幣殿、拝殿のいずれも、江戸時代の建築様式をよく残しており、当時の技術の高さをうかがわせます。

さらに、境内には天御子神社や雷三神社といった摂末社も存在し、それぞれが独自の信仰を集めています。天御子神社境内に生育するヤマモモの木は、磐田市指定天然記念物にも指定されています。

見付天神裸祭と神社の文化的意義

淡海國玉神社と深く関わりのある見付天神裸祭は、2000年（平成12年）に国の重要無形民俗文化財に指定されました。この祭りは、地域独特の文化と信仰を象徴するもので、神社の歴史と地域社会とのつながりを示す重要な要素となっています。

神社の文化的意義は、祭りのみならず、数々の指定文化財にも表れています。本殿は2015年（平成27年）、幣殿と拝殿は2016年（平成28年）にそれぞれ磐田市、静岡県指定文化財に指定されました。これらの指定は、神社が持つ歴史的・文化的価値を広く認められた証と言えるでしょう。

淡海國玉神社は、単なる神社ではなく、地域の歴史と文化を象徴する貴重な存在です。その歴史と神々、そして文化財は、未来へと受け継がれていくべき重要な遺産と言えるでしょう。

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