延喜式神名帳

延喜式神名帳について

延喜式神名帳（えんぎしき じんみょうちょう）は、927年に編纂された『延喜式』の中で、神社に関する情報が整理されている部分を指します。この神名帳は特に「官社」として指定された神社の一覧を提供し、古代日本における神社制度やその歴史を理解するための貴重な資料となっています。

神名帳の成り立ち

「神名帳」とは、かつての律令体制内で神祇官によって作成された神社のリストであり、通常は公式の神社帳とも呼ばれています。この文書は、国や郡ごとに神社がリストアップされており、それぞれの神社の祀る神々、祭祀の内容、受ける供物の種類や量などが明記されていますが、各神社の詳しい歴史や祭神名は記されていません。延喜式神名帳は、このような神名帳の一形態として捉えられています。

式内社とその影響

延喜式神名帳には、全国で2861社にわたる神社が記載されており、これに鎮座する神々の数は3132座にのぼります。これらの神社は、公式な機関としての朝廷によって認識されていたことから、「式内社」と考えられています。式内社の存在は、当時の政治的背景が色濃く反映されていることが特徴的です。

式外社と国史現在社

一方で、当時の神社の中には延喜式神名帳に記載されていない「式外社」と呼ばれるものも存在しました。これには、朝廷の影響圏外にあたる神社や、宗教的に独自の立場を持つ神社が含まれます。また、六国史に名があるにもかかわらず延喜式神名帳には含まれていない神社は「国史現在社」とされ、例として石清水八幡宮や大原野神社が挙げられます。

論社の探索

延喜式に記載された式内社の後継社を探求する研究も古くから行われており、現在では論社や比定社と呼ばれることがあります。式内社の後裔と見なされる神社も多く、その特定は様々な伝承や研究によって行われていますが、確実な証拠が乏しいため、伝承による推測が主な根拠とされています。これにより、同じ式内社から派生したとされる神社が複数存在する場合も珍しくありません。

式内社の社格

式内社は幣帛を受ける方式によって官幣社と国幣社の2つに分類されます。官幣社は神祇官から、国幣社は国司から毎年供物を受け取る神社を指します。式内社の中には官幣社573社、国幣社2288社が存在します。また、社の規模や重要度に応じて大社と小社に分けられることもあります。

近代社格制度との違い

なお、近代社格制度においても似たような呼称が用いられていますが、延喜式における社格とは全く異なる意味を有しており、制定された経緯や評価基準も異なります。式内社における社格は、その重要性や規模に基づいて明確に定義されており、特に官幣大社は畿内に多く負っています。


このように、延喜式神名帳は単なる神社のリスト以上のものであり、古代日本における宗教的な構造や当時の政治的背景を知る上で非常に重要な役割を果たしていることが理解できます。

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