深層捜査

深層捜査 ドクター大嶋二郎の事件日誌

2017年から2019年にかけて、テレビ朝日系列で計3回にわたり放送された単発スペシャルのテレビドラマシリーズ。俳優の長塚京三が主演を務め、内科医であり精神科医でもある主人公が、事件関係者の心の深層心理に分け入り、隠された真実を見つけ出すことで、複雑な殺人事件の真相を解明していくさまを描いています。

本シリーズは、第1作が「土曜プライム・土曜ワイド劇場」、第2作が「日曜ワイド」、第3作が「日曜プライム」と、当時のテレビ朝日の週末ドラマ枠を渡り歩く形で放送されました。

物語の中心にいるのは、長塚京三演じる大嶋二郎です。彼は、心療内科を併設する「大嶋クリニック」の院長。内科医としての知識に加え、心の病にも向き合う精神科医としての洞察力を持ち合わせています。彼自身、20年前に妻を何者かによって殺害されるという辛い過去を背負っており、この経験が犯罪被害者やその周囲の人々の心情に寄り添う姿勢に繋がっています。大学病院での勤務医を経て開業した彼のクリニックには、渡辺大演じる医師の高野泰之が勤務しており、二郎の医療活動を支えています。また、二郎の一人娘である大嶋めぐみ（岩佐真悠子）も、看護師としてクリニックや別の病院で父の活動に関わっています。

大嶋二郎の捜査協力は、警察関係者との連携によって進められます。かたせ梨乃演じる柏木百合子は、警視庁の犯罪被害者対策室長として、被害者の心のケアにも配慮しながら事件解決を目指す二郎に理解を示します。また、西村まさ彦（旧名：西村雅彦）演じる警視庁捜査一課七係の係長、谷本伸次郎警部も登場し、時には衝突しながらも、大嶋二郎の独自の視点を取り入れ、事件解決に向けて動いていきます。

各回では、事件ごとに異なるゲスト出演者が重要な役どころを演じます。被害者、容疑者、事件関係者など、それぞれが抱える心の闇や秘密が大嶋二郎によって解き明かされていきます。例えば、第1作には螢雪次朗、村野武範、風間トオル、本田博太郎、賀来千香子らが、第2作には手塚理美、大鶴義丹、橋爪淳らが、第3作には松下由樹、加藤虎ノ介、堀部圭亮、篠井英介、小野武彦、吉行和子らが出演し、物語に深みを与えました。

制作陣には、脚本に渡辺典子、久松真一。そして、監督と脚本を兼任した香月秀之が名を連ねています。音楽はMOKUが担当し、ドラマの緊迫感や心情描写を盛り上げています。彼らの手によって、単なる謎解きにとどまらず、人間の心の機微や、過去の出来事が現在に落とす影といったテーマが丁寧に描かれました。

全3回とシリーズ数は多くはありませんが、主人公の特殊な能力（精神科医としての洞察力）と過去の経験を掛け合わせることで生まれる独自の捜査スタイルと、実力派俳優たちの競演が見どころとなったヒューマンミステリードラマシリーズです。

なお、第3作は当初予定されていた放送日から変更されるという経緯がありました。

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