深川検車区行徳分室

深川検車区行徳分室

深川検車区行徳分室は、東京地下鉄（東京メトロ）が保有する車両基地の一つで、千葉県市川市に位置しています。東京メトロの車両基地としては唯一、千葉県内に所在する施設です。主に東京メトロ東西線の車両が所属・管理されています。

概要と歴史

この車両基地は、東西線の妙典駅東方に広がり、江戸川の右岸に位置しています。その起源は古く、1969年（昭和44年）に帝都高速度交通営団（当時）の下妙典留置線として建設されました。その後、機能が拡充され、1981年（昭和56年）8月1日には行徳検車区として正式に業務が開始されました。時代の変化に伴い、組織再編が行われ、2009年（平成21年）4月1日には深川検車区と組織的に統合され、現在の名称である深川検車区行徳分室となりました。過去には、車輪転削業務や車両清掃業務が深川検車区本体に移管された時期がありましたが、その後に一部業務（車輪転削）が再び行徳分室に戻されるといった変遷を辿っています。

立地と水害対策

行徳分室が建設された場所は、隣接して江戸川放水路が流れており、水害（洪水や高潮）のリスクが考慮される地域です。そのため、施設建設にあたっては大規模な水害対策が講じられました。具体的には、基地全体が約3メートルもの高さに盛り土されています。この盛り土に用いられた土砂の量は約22万立方メートルにも及び、千葉県内から運び込まれました。これにより、万が一の増水時にも車両や施設が安全に保たれる構造となっています。

主な業務内容

行徳分室では、東西線を走行する車両の安定運行を支える重要な業務が行われています。主な業務は以下の通りです。

列車検査: 列車が安全に運行できる状態にあるかを確認する検査です。1日に2編成に対して実施されており、主に検査庫を備えた11番線で行われます。屋根上点検台のある8番線および9番線も検査に対応しています。
営業線対応: 営業線で発生した車両の不具合などに対する応急処置や対応を行います。
* 車輪転削: 走行によって摩耗したり形状が変化した車輪を、専用の機械で削って元の正しい形状に戻す作業です。これにより、乗り心地の向上やレールの摩耗抑制、脱線防止に貢献します。10両編成の場合、1日に2両のペースで実施され、約18ヶ月（1年半）の周期で計画的に行われます。東西線車両だけでなく、直通運転を行っている東葉高速鉄道の車両の車輪転削も受託しています。

車両基地への入出庫線は、当初2本でしたが、後に本線をアンダークロスしない新たな線が1本増設され、利便性が向上しました。また、過去には廃車となった車両の解体作業も当基地内で行われていた時期があります。

構内構造

行徳分室の構内は、東西方向に複数の線路が配置されており、様々な用途に使用されています。留置線が大部分を占め、検査庫、修繕設備、保守用車の留置スペースなどが配置されています。例えば、東側から順に、複数の留置線が並び、特に11番線には列車検査庫が設けられており、その奥にはリフティングジャッキなどの修繕設備が備えられています。また、保守用車を留置するための機材線も複数箇所に設けられており、基地の西側にはかつて洗浄線として使用されていた線路などが残されています。8番線と9番線の間には屋根上にアクセスするための点検台が設置されており、車両の屋根上機器の確認に使用されます。

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