深心院

深心院（しんしんいん）は、元禄13年（1700年）に生まれ、享保6年旧暦10月7日（1721年11月25日）に22歳という若さで亡くなった女性です。彼女は、江戸幕府8代将軍・徳川吉宗の側室であり、源三（夭折）と徳川宗尹（一橋徳川家初代当主）の母として知られています。俗名は梅（うめ）、または久とも伝えられています。

父は谷口正次という人物で、母は北面武士服部越中守の娘でした。深心院という院号は、彼女の死後に贈られたものです。また、11代将軍・徳川家斉にとっては曽祖母にあたります。

深心院は、元禄17年（1704年）3月に和歌山城に奉公に上がり、吉宗の母である浄円院付きの女中として働き始めました。当時、吉宗は紀州藩主であり、彼女は吉宗の寵愛を受けるようになりました。

吉宗が8代将軍として江戸幕府を率いることになると、深心院も紀州藩邸から江戸城大奥に移り住みました。享保4年（1719年）には源三を産みますが、源三は夭折してしまいます。その後、享保6年（1721年）に宗尹を産みましたが、深心院自身も同年、22歳という若さで病没しました。彼女の短い生涯は、その美貌と聡明さ、そして吉宗の寵愛によって彩られていたことでしょう。

深心院は、上野寛永寺凌雲院に埋葬され、戒名は深心院慈潭性水大姉と名付けられました。

彼女が産んだ徳川宗尹は、一橋徳川家の初代当主となり、その血筋は後の将軍家にも繋がっていきます。深心院の存在は、徳川幕府の歴史において、重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

深心院の生涯は短いものでしたが、将軍の側室として、そして徳川宗尹の母として、歴史に名を刻みました。彼女の人生は、様々な物語やドラマを生み出す源泉となり、後世に語り継がれています。

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