深水埗

深水埗（シャムスイポウ）は、香港の九龍半島北西部に位置する地区で、深水埗区に属しています。この地域は、香港の中でも特に所得水準が低いエリアとして知られており、比較的、北京語を話す中国本土からの住民が多いのが特徴です。公共交通機関は非常に発達しており、多くのバス路線が運行し、香港MTR荃湾線の深水埗駅が中心的な駅となっています。

このエリアは、高登電脳中心をはじめとする電気街があり、同じく九龍にある旺角と並び、「香港の秋葉原」と称されるほどです。週末になると、多くの人々が電気製品を求めて店を訪れ、非常に混雑します。また、服飾や玩具などの問屋も多く、香港の下町としての賑わいを見せています。しかし、単に古い街並みが残るだけでなく、九龍を代表するショッピングモールの一つである西九龍中心（ドラゴンセンター）もここにあります。このモールには、かつて屋内ジェットコースターがありましたが、現在は運転を停止しており、そのレールと車両がそのまま残されています。

深水埗の西側、埋め立て地には高層の人口住宅が広がっており、香港MTR屯馬線の中間駅である南昌駅があります。南昌駅周辺も広義の深水埗地区の一部とみなされています。この地域は、かつては労働者階級の居住地として知られていましたが、2016年に多国籍ストリートブランドと非営利芸術団体が協力してストリートアートイベントを開催したことをきっかけに、高級化が進みました。この変化によって、2020年には「新たな文化の中心地」や「新たなブルックリン」などと評されるようになり、タイムアウト誌からは「世界で最もクールな地区トップ10」の一つに選ばれるなど、国際的な注目を集めています。

深水埗は、過去の賑わいを残しながらも、新しい文化的な側面も持ち合わせる魅力的な地域へと進化しています。古い香港の雰囲気を残しつつも、新しいアートや文化が生まれる場所として、今後も変化を続けていくことが期待されます。

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