混獲

混獲（こんかく）

混獲とは、漁業活動中に意図しない対象の生物を獲ってしまうことを指します。これは対象種以外の魚や、サイズが小さすぎる個体、さらには未成熟な幼体を捕まえてしまう状況を含みます。混獲は世界中の漁獲量の40％以上を占め、これが漁獲物の減少や環境への悪影響を引き起こす一因となっています。

混獲の定義

混獲という用語には、少なくとも4つの異なる側面があります。1つ目は、捕獲後に対象生物を海に戻さずに商業的に売却するケースです。2つ目は、漁獲した生物が本来の意図と異なるために、漁師がそれを廃棄またはリリースしてしまう場合です。3つ目は、対象とは異なる生物を漁獲すること全般を指します。最後に、絶滅危惧種などの貴重な生物が混獲される場合です。

具体的な混獲の例

特にエビのトロール漁では混獲率が非常に高く、1997年にはFAOによってエビ漁における混獲が、その対象であるエビの漁獲量の最大20倍に達するとされました。アメリカにおいても、エビ漁での混獲は対象の3倍から15倍に達すると報告されています。この漁法では、魚類や海洋哺乳類が大量に死亡し、海に戻されても生存率が低いため、問題は深刻です。

混獲される具体的な生物としては、南大西洋でのエビ漁では、166種の魚類、37種のクジラや無[[脊椎動物]]が含まれています。本来の漁獲対象のエビは全体の約10%にとどまり、残りは他の種が占めています。このように、混獲は漁業の持続可能性に大きな影響を与えています。

混獲の影響と地域別事例

日本では混獲されたクジラの肉が市場に流通することもあり、特に絶滅危惧種の捕獲が問題視されています。平成30年度には91頭のヒゲクジラ類が混獲され、そのほとんどが食用として流通しました。韓国でもスナメリが頻繁に混獲されており、専門家からは意図的な捕獲との指摘もあります。

また、アホウドリやウミガメの混獲も懸念されています。特にウミガメはエビのトロール漁によって多くが命を落としており、毎年数千匹が混獲されています。サメやその他の無[[脊椎動物]]も混獲されることがあり、マグロ漁では極端な割合でサメ類も捕獲されています。

対策と改善の試み

この問題に対処するため、様々な対策が講じられています。一部地域では、高い混獲率の漁場を一時的または永久に閉鎖することが進められています。また、漁具の改良も行われており、特に網の目を大きくすることや、脱出装置の導入が試みられています。これらにより、混獲を減少させる可能性が期待されています。

さらにアメリカでは、海洋哺乳類保護法が施行され、混獲問題に取り組んでいます。この法律は、特定の漁法に対する規制を設けており、イルカなどの保護を目的としています。

結論

混獲は、漁業において実害をもたらす深刻な問題です。漁業者、研究者、政策立案者が協力し、持続可能な漁業の確立を目指すことが求められています。環境を守りつつ、漁業資源を持続的に利用するための努力が不可欠です。

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