清元延寿太夫 (6代目)

六代目清元延寿太夫：名家の伝統と華麗なる一族

六代目清元延寿太夫（ろくだいめ きよもと えんじゅだゆう、1926年9月27日 - 1987年2月5日）は、昭和を代表する清元師匠の一人です。東京都出身、本名岡村清道。その名声は、類まれな芸達者としてだけでなく、華麗なる一族との繋がりにも由来しています。

名家の重圧と早すぎる別れ

四代目清元栄寿太夫を父、五代目清元延寿太夫を祖父に持つ、まさに清元家嫡流の血筋です。祖父は「高輪の家元」「孤高の名人」と謳われた名跡の継承者でした。しかし、六代目延寿太夫は幼くして父を亡くし、その後祖父も失うという、大きな悲しみを経験しています。

研鑽と襲名

慶應義塾大学卒業という経歴を持つ彼は、祖父と父に師事し、幼い頃から厳しい修練を積みました。1941年には五代目清元栄寿太夫を襲名、その後1948年には新橋演舞場での六代目尾上菊五郎の「助六曲輪櫻」公演において、六代目清元延寿太夫を襲名します。周囲の支え、特に三味線の清元榮壽郎らの献身的な助力があってこそ、彼はこの名跡を継承し、発展させることができたと言えるでしょう。

清元界の重鎮として

六代目延寿太夫は、持ち前の才能と努力で、清元界の中心的存在へと成長しました。1964年には清元協会初代会長に就任し、その指導力と影響力は、後進の育成にも大きく貢献しました。その芸の域は高く評価され、多くの聴衆を魅了しました。

晩年と没後

1982年、脳梗塞により倒れて以降は舞台から遠ざかりましたが、その名声は衰えることはありませんでした。1987年2月5日、60歳でこの世を去りました。

華麗なる一族と縁戚関係

彼の私生活にも注目が集まります。妻は六代目尾上菊五郎の次女、多喜子です。歌舞伎界との深い繋がりを示すエピソードと言えるでしょう。長男は七代目清元延寿太夫を襲名し、家系の伝統は現在も続いています。さらに、孫には三味線方の清元昴洋と歌舞伎役者の二代目尾上右近がいます。義兄には七代目尾上梅幸、二代目尾上九朗右衛門、十七代目中村勘三郎らがおり、義弟には二代目大川橋蔵がいます。まさに、歌舞伎界と清元界を繋ぐ、華麗なる一族の一員として、六代目清元延寿太夫は歴史に名を刻んだのです。


まとめ

六代目清元延寿太夫は、名家の重圧を乗り越え、類まれな才能と努力で、清元界に大きな足跡を残しました。慶應義塾大学卒業という異色の経歴、そして歌舞伎界との深いつながりは、彼の魅力の一つです。彼の生涯は、伝統芸能の世界における努力と才能、そして人との繋がり、そして名家の重圧と栄光を物語る、感動的なものです。

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