清元志寿太夫

清元 志寿太夫の生涯

清元 志寿太夫（きよもと しずたゆう）は、1898年に横浜市に生まれ、1999年に101歳で永遠の旅に出ました。彼は清元節太夫として活躍し、重要無形文化財保持者（人間国宝）、文化功労者、日本芸術院会員など多くの栄誉を受けた存在です。彼の本名は柿沢竹蔵であり、前名は清元松喜太夫でした。志寿太夫はその美声と豊かな声量によって、日本の伝統音楽の中で重要な地位を築きました。

初期の芸歴

志寿太夫は幼少期から音楽に親しんでいました。1913年、彼は清元延小家寿に師事し、1916年には初舞台を踏む機会を得ます。その後、彼は様々な門下を渡り歩き、1924年には初代清元志寿太夫として独自の道を歩み始めました。特に、1926年には大阪の弁天座で初めて立語りを行い、その才能は瞬く間に評判となりました。

戦後の名声

戦後、志寿太夫は清元節の第一人者として名を馳せ、特に若年だった清元延寿太夫を側面から支えながら、舞台芸術を広めていきました。彼は多くの演奏会や会を開催し、特に1980年には清元生活65年を記念する演奏会が歌舞伎座で行われ、大きな話題を呼びました。この会では、彼が長年のキャリアを礎に，さまざまな作品を披露しました。

最後の歳月

1988年には「志寿太夫の会」を定期開催し、数回にわたって多くの観客を魅了しました。1997年の百歳を迎えた時には、盛大な記念公演も行われるなど、その影響力は衰えることがありませんでした。晩年に入ると、彼は様々なアクシデントに見舞われながらも、歌舞伎座での舞台に立ち続けました。

家族とその業績

志寿太夫の家族もまた、清元節に深く関わる存在でした。彼の妻、清元延香をはじめ、子息の清元榮三郎、公益的な活動においても知られる清元小志壽太夫らが、家系を支え続けてきたのです。特に榮三郎は、父と同様に人間国宝として活動するなど、親子二代にわたる珍しいケースとして知られています。

最後の瞬間

1999年には彼が長らく入院していましたが、入院中に長男の榮三郎に「101歳まで生きたのはおまえたちのおかげだ」と感謝の言葉を述べ、同年1月1日に息を引き取りました。このような長い人生を通じて、彼は清元節の伝承と同時に、多くの人々に影響を与え続けました。

業績と受賞

志寿太夫は、その長いキャリアの中で数々の賞を獲得しています。中でも、1961年には芸術選奨文部大臣賞、1968年には日本芸術院賞を受賞しました。また、1981年のNHK放送文化賞や、1982年の文化功労者に選出されるなど、その業績は広く認められました。

最後に

志寿太夫の影響は、ただ彼の舞台だけにとどまらず、その後の世代においても清元節の重要性を再認識させるものとなりました。彼はただの演奏家ではなく、日本の伝統文化を体現した存在であり、その足跡は今もなお多くの人々に受け継がれています。

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