清原成衡

清原成衡：奥州を舞台に生きた謎多き武将

清原成衡（きよはらなりひら）は、平安時代後期に活躍した武将です。その生涯は謎に包まれており、確かな史料が不足しているため、様々な説が飛び交っています。本稿では、複数の史料を基に、可能な限り詳細に成衡の生涯と系譜を考察します。

出自と養子縁組

『清原系図』によると、成衡は平安忠の次男とされていますが、出自については諸説あります。平泰貞の子、あるいは常陸大掾忠衡、平則道、平繁衡の子とする説も存在します。いずれも海道平氏の一族であり、陸奥国磐城郡近辺の豪族出身であることは共通しています。

成衡が奥州の豪族、清原真衡の養子となったことは事実のようです。『桓武平氏諸流系図』には、成衡に「実直成子」という注記がありますが、これは誤記とする説もあります。真衡は、清原氏の家格を高め、武家として確立させるために、平氏出身の成衡を養子とし、源頼義の娘を妻に迎えたと考えられています。この婚姻によって、源平両氏の血筋を後継者とする狙いがあったと推測できます。しかし、清原氏の出自自体も、成衡の出身である海道平氏の流れとする見解もあるため、複雑な状況が伺えます。

後三年の役と最期

成衡の婚礼を巡り、吉彦秀武と真衡が対立したことが、後三年の役の発端となったという説が有力です。真衡の急死後、成衡の動向は不明瞭です。役の最中に討ち死にしたという説や、妻の兄である源義家の庇護を受けて下野国塩谷郡に居住し、後に常陸国住人中郡頼経に討伐されたという説も存在します。

『寛政重修諸家譜』によれば、成衡は当初陸奥国の藤原清衡のもとにいたとされますが、父・忠衡の無実の罪が許されたため、常陸国へ戻り、本領を安堵されました。その後、陸奥国で菊多、駒木根、鯨岡、片寄、岩城、行方、磐前、楢葉、椎葉などを領し、岩城を本拠地として白土城に住んだと伝えられています。同書によると、永暦元年（1160年）2月25日、51歳で死去し、「業佐」と号したとされています。正室は藤原清衡の養女、側室は源頼義の娘とされています。

系譜と子孫

『岩城代々之系図』によると、成衡は平維茂の子・平安忠を祖とする系譜を持ち、平則道、平貞衡、平繁衡、平忠衡と続いています。忠衡の子である隆行（成衡）が陸奥に下り、藤原清衡の女婿となり、妻との間に五人の子をもうけたとされます。長男は平隆祐、次男は平隆衡（隆平）、三男は平隆久、四男は平隆義、五男は平隆行で、それぞれ楢葉郡、岩城郡、岩崎郡、標葉郡、行方郡を所領としたと伝えられています。成衡の四男・隆義（隆行とも）の子孫を称する標葉氏などが、その裔とされています。兄弟には清原源左衛門重光がおり、その墓は秋田県二ツ井にあります。

まとめ

清原成衡は、出自や生涯に謎が多く残る人物です。源平両氏の血筋を引き、奥州という激動の時代を生きた武将として、その存在は平安時代末期の歴史を考える上で重要な位置を占めています。今後の研究によって、さらに詳細な人物像が明らかになることが期待されます。

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