清水九兵衛

清水九兵衞（きよみず きゅうべえ）

清水九兵衞は、1922年5月15日に生まれ、2006年7月21日に逝去した日本の彫刻家であり陶芸家です。特に、彼は抽象彫刻の分野であらゆるアーティストに影響を与えた第一人者として知られています。また、清水焼の名家・清水六兵衞の七代目を襲名したことでも有名です。

略歴

愛知県大久手町で生まれた清水は、愛知一中（現・愛知県立旭丘高等学校）を卒業後、名古屋高等工業学校（現・名古屋工業大学）で建築を学びました。当時、彼はイタリアのモダニズム[[建築]]に魅力を感じていました。沖縄戦を生き延びた後は、東京藝術大学美術学部鋳金科で彫刻を学び、在学中に六代清水六兵衞の養子として陶芸に取り組み始めました。1953年に大学を卒業し、陶芸界で名声を博しながらも、ヨーロッパ、特にイタリアの現代彫刻に対する関心を持ち続けました。

1967年には日展を離れ、陶芸を辞めて抽象彫刻の制作に専念します。清水は1960年代末、ヨーロッパに留学した経験から、西洋の彫刻が持つ強い表現やスケールの大きさに感銘を受けました。その一方で、西洋の堅固な建築様式には違和感も覚え、日本の風土に合う近代彫刻の可能性を追求していくこととなります。これ以降、彼は作品が周囲の環境と調和する「親和（アフィニティー）」というテーマに取り組んでいきました。

彫刻制作

1970年からは、これまで使用していた真鍮の代わりにアルミ合金を用いた艶消しの抽象彫刻の制作を آغازしました。垂直性と水平性を強調した大規模な彫刻を数多く生み出し、ビルの公開空地や広場に設置されるパブリック・アートの作品も手がけるようになります。彼の作品は、空間に統合されるかのようにデザインされており、その美しさは時を超えて多くの人々に感動を与えてきました。

1981年には七代清水六兵衞を襲名し、陶芸に再び専念。それに並行して彫刻制作も続け、2000年には長男が八代清水六兵衞としての役目を引き継いだ後、彼自身は彫刻創作に専心するようになりました。

受賞歴

清水九兵衞は数々の賞を受賞し、その芸術的な才能が高く評価されています。1975年には宇部市の現代日本彫刻展で毎日新聞社賞と東京国立近代美術館賞を受賞。1977年には日本芸術大賞を受賞し、1979年には第一回ヘンリー・ムーア大賞展で優秀賞を受賞するなど、彼の功績は多岐にわたります。

主な作品

彼の作品は全国のさまざまな公共空間に設置されており、特に注目されるものには、1975年の「AFFINITY.D」などがあります。また、1981年の「マスクA」や1990年の「朱甲面」など、彼の彫刻は都市の風景に静かに溶け込んでいます。このように、清水九兵衞は日本の抽象彫刻において不動の地位を築いた偉大なアーティストなのです。

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