清水睦

清水 睦（しみず むつみ）

清水睦（1930年〈昭和5年〉11月3日 - ）は、日本の著名な法学者であり、専門は憲法学です。長年にわたり中央大学で教鞭を執り、同大学の名誉教授の称号を授与されました。その学識と教育への貢献は広く認められており、中央大学から論文博士として法学博士の学位を授与されています。

生涯と学歴

長野県諏訪郡原村に生まれた清水氏は、旧制諏訪中学（現在の長野県諏訪清陵高等学校）を経て、中央大学予科に進みました。1953年には旧制の中央大学法学部を卒業しています。この中央大学での学びが、その後の憲法学者としての道を歩む礎となりました。

中央大学でのキャリア

大学卒業後、清水氏は母校である中央大学の法学部で研究者としてのキャリアをスタートさせます。1953年に助手として採用され、研究と教育に従事しました。その後、1958年には助教授に昇任し、さらに1965年には教授となりました。教授として、清水氏は多くの学生に憲法学を教え、その深い知識と洞察は多くの学徒に影響を与えました。2001年に中央大学を定年退職するまで、実に長きにわたり同大学の教育・研究活動の中心を担いました。

研究と著作活動

清水氏は、憲法学の研究において多大な貢献をしました。特に、現代の議会制や基本的人権、統治機構など、多岐にわたるテーマで研究を進め、その成果を数多くの著書として発表しました。代表的な著書としては、初期の『日本国憲法への視点』（1966年）や『日本国憲法の位相』（1967年）に始まり、『概説憲法』（1971年）、『憲法の論理と情動』（1971年）、『現代議会制の憲法構造』（1979年）、『基本的人権の指標』（1979年）、『日本国憲法の情景』（1984年）、『現代統治の憲法手法』（1997年）、『憲法基軸の周縁』（1999年）などがあります。これらの著作は、憲法学の理論的深化だけでなく、その解釈や現実社会への適用に関しても重要な示唆を与え、多くの研究者や学生にとって不可欠な文献となりました。

また、単著だけでなく、共編著も多数手掛けています。例えば、『[憲法]] 1 (総論・統治機構)』（1989年）、和田英夫氏との共編による『憲法]』（1989年）は、大学での講義や学習に用いられる教科書・参考書として広く利用されました。さらに、『公務員試験[[憲法 1997年度版』（1995年）や『憲法入門 これからの政治と憲法』（1998年）など、実務や入門向けの書籍の編著にも携わり、憲法学の知見を様々な層に伝える活動にも尽力しました。

教育者としての功績と門下生

清水氏は、優れた研究者であると同時に、情熱的な教育者でもありました。特に、そのゼミからは数多くの有為な人材が輩出されています。青山学院大学学長を務めた三木義一氏も、清水ゼミの出身者の一人です。他にも、北海道大学や上智大学名誉教授の高見勝利氏、中央大学名誉教授の植野妙実子氏をはじめ、大阪大学、金沢大学、松山大学、福島県立医科大学、中京大学、國學院大学、中央大学、明治学院大学など、全国各地の大学で教鞭を執る研究者や、その他の分野で活躍する多くの門下生を育成しました。清水氏の教育は、門下生たちのその後のキャリアに大きな影響を与え、日本の憲法学界や法曹界などに貢献する人材を多数育て上げました。

人物と影響

清水睦氏は、TBSアナウンサーの清水大輔氏の父でもあります。個人的な側面においても、多方面にわたる交流があったことがうかがえます。長年にわたる研究と教育への献身は、憲法学の発展に寄与しただけでなく、次世代の研究者や実務家の育成という形で、日本の学術界・社会全体に大きな影響を与えました。その憲法学への貢献と教育者としての功績を称え、門下生らにより『現代国家の憲法的考察 清水睦先生古稀記念論文集』（植野妙実子編、2000年）が出版されています。これは、清水氏が多くの人々に慕われ、その業績が深く尊敬されていたことの証と言えるでしょう。

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