清浄道論

清浄道論の概要

『清浄道論』、パーリ語での表記は『Visuddhimagga』は、5世紀ごろに高名な仏教の注釈者ブッダゴーサによって執筆された、上座部仏教における重要な実践綱要書です。この書は、上座部仏教圏の信者たちにとって最高の権威を誇り、清浄な道を歩むための指針として広く用いられ続けています。

この作品は、ブッダゴーサが大寺派の文献をもとに無畏山寺派の実践綱要書『解脱道論』を参考にしつつ、さまざまな教典を引用して整理したものとされています。

構成

『清浄道論』は全2部23章に分かれており、第一部は「戒」と「定」に関する章が、第二部は「慧」に関する章が収められています。

• - 第一部:

- 第1-2章では「戒」について。
- 第3-11章では「定」、すなわち禅定に関する詳細な内容が述べられています。

• - 第二部:

- 第12-23章では「慧」、具体的にはヴィパッサナー瞑想に焦点が当てられています。

第一部の詳細

第一部の冒頭にあたる序章では、仏教の三学（戒・定・慧）がどのように教理を統合し、清浄な道へと導く役割を果たしているかを説明しています。第1章では、戒の重要性について詳しく述べ、戒の定義や意義、効果、そして種類に関する詳細が紹介されています。

続く第2章では、戒の完成に向けた修行の一環として、頭陀行についての解説が行われ、13の払拭行が示されます。第3章からは、瞑想の一種である禅定への道筋が描かれ、禅定の種類や修習方法に関する情報が詳述されます。

第4章から第9章まででは、禅定のための40の業処について具体的な方法論が提示されています。これには地遍や残りの業処、水や火、風に関する瞑想の手法が含まれており、それぞれの瞑想対象に対して、具体的にどのような思考を巡らせるかが解説されています。

第二部の内容

第二部に移ると、第12章では禅定の成果としての「神通力」について解説され、次いで五蘊や十二処・十八界に関する詳細が展開されます。また、七清浄についても深く掘り下げ、見清浄、度疑清浄、道非道智見清浄などについて述べられます。

最終章である第23章では、ヴィパッサナー瞑想を通じて得られる智慧の功徳について触れ、仏道の清浄さが終始貫かれていることが確認されます。

日本語訳と参考文献

この重要な教典は、いくつかの日本語訳が存在し、特に高楠順次郎監修『南伝大蔵経』や浪花宣明の注釈が挙げられます。これらの翻訳は現代の信者や研究者にとって貴重な資源となっており、広く活用されています。

結語

『清浄道論』は、仏教実践者が自身の精神的な道を進むために必要な知識と技法を提供するものであり、上座部仏教の核心的思考を理解するための重要な文書です。仏道の清浄な道を示すこの作品は、生涯にわたって多くの人々に影響を与え続けています。

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