清里村 (新潟県)

かつて新潟県の南西部に位置し、中頸城郡のほぼ中央部に広がりを見せていた清里村（きよさとむら）は、周囲を自然に囲まれた静かな農山村でした。村の東側には上越市、南側には同じ中頸城郡の板倉町、北側には東頸城郡の牧村、そして西側は長野県飯山市と、複数の市町村と境を接していました。村の中央部を流れる櫛池川や、神秘的な雰囲気をたたえる坊ヶ池といった水辺の景観は、地域の自然を象徴するものとして親しまれていました。

この村は、昭和30年（1955年）3月31日に、それまで独立していた菅原村と櫛池村が合併して誕生しました。合併によって新たな歩みを始めた清里村は、その後約50年間にわたり、地域の歴史と文化を育んできました。特に経済的な結びつきとしては、平成12年（2000年）の国勢調査によれば、村の住民の37.8%が隣接する上越市へ通勤しており、経済的な交流が活発であったことがうかがえます。村の行政は、合併当時から長らく梅澤正直氏が村長を務め、地域の発展に尽力しました。

村内には、清里小学校と清里中学校があり、地域の子どもたちの学び舎として機能していました。教育は地域の未来を担う重要な要素であり、これらの学校は村の中心的な存在でした。交通網については、村域を通過する鉄道路線は存在しませんでしたが、村外への移動にはJR東日本信越本線の高田駅などが最寄りの鉄道駅として利用されていました。

清里村には、訪れる人々を惹きつける様々な名所や旧跡、観光スポットが存在しました。例えば、戦国時代の山城跡である京ヶ岳城跡は歴史好きには興味深い場所でした。また、樹齢数百年の巨木である櫛池の大杉や岡野町の大ケヤキは、地域のシンボルツリーとして親しまれ、悠久の時を感じさせます。さらに、学術的にも貴重な櫛池の隕石や、古墳時代の遺構である菅原古墳など、歴史や自然の神秘に触れることができるスポットもありました。信仰の対象としては普泉寺があり、人々の心の拠り所となっていました。観光施設としては、宿泊も可能なフォークハウス湖畔や、北陸地方でも有数の口径650mmの天体望遠鏡を備える星のふるさと舘があり、自然を満喫したり、夜空の星を観察したりする楽しみを提供していました。夏の風物詩としては、きよさと夏祭り（かつてのサマーカーニバル）が開催され、多くの人で賑わいました。

清里村は、平成17年（2005年）1月1日、隣接する上越市に編入されました。この合併により、清里村という自治体としての歴史には幕が下ろされましたが、その村域は現在、上越市の地域自治区である「清里区」として、その名称と地域のまとまりを引き継いでいます。清里区は、旧清里村が培ってきた歴史、文化、自然環境を大切にしながら、新たな行政区域として地域の活性化に取り組んでいます。かつての清里村は、小規模ながらも豊かな自然と歴史を持ち、地域住民によって大切に守られてきた場所であり、その記憶は現在の清里区へと確かに受け継がれています。

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