済州島四・三事件

済州島四・三事件

済州島四・三事件（チェジュドよんさんじけん）は、1948年4月3日から1954年9月21日までの期間に、南朝鮮の済州島で発生した深刻な歴史的出来事です。これは、在朝鮮アメリカ陸軍司令部の軍政下で、李承晩政権に対する島民の武装蜂起と、その後の厳しい弾圧を指します。この事件は、済州島の住民に対する残虐行為が数多く発生し、犠牲者は少なくとも1万4200人から、推定で2万5千人から3万人に達したとされています。一部の資料では、死亡者数は80,000人に達したとも記録されています。

この事件の背景には、1945年に日本が連合国に降伏した後の朝鮮半島分割占領があります。南側では親米の李承晩政権が成立し、左派の南朝鮮労働党の台頭とその後の対立がありました。1946年には、済州島で左派を支援するデモが発生し、それに対して警察が発砲し6名が死亡する事件が起こりました。これを契機に、島民の不満は高まり、1948年には武装蜂起が勃発しました。

この蜂起に対して、李承晩政権は激しい弾圧を開始し、韓国軍と警察は武装蜂起に参加した島民に対し非人道的扱いを行いました。彼らは拘束された島民を拷問し、さらには抗議活動を行った者たちを容赦なく殺害しました。済州島の村々の70%が焼失し、島民の約5人に1人、つまり約6万人が命を落としました。

上記の事件が進行する中で、多くの済州島民は恐怖により島を脱出し、日本への密入国を試みました。済州島民の人口は、日本から独立した時点で約28万人でしたが、事件を経て驚異的に減少しました。多くの島民が日本に移住し、彼らの多くは済州島出身者でした。また、在日韓国人コミュニティの中でも、済州島出身者が大きな割合を占めています。

事件の影響は、韓国社会においても長期にわたりました。事件から数十年にわたり、韓国では歴史の清算がなされず、反共主義が国是とされてきました。しかし、2000年に金大中政権のもとで真相究明の特別法が制定され、事件の詳細が徐々に明らかにされるようになりました。2003年には盧武鉉大統領が事件に関する島民との懇談会で謝罪し、政府としての公式な立場を表明しました。

文在寅政権でも、再度の謝罪とともに遺骨発掘などの取り組みが続けられています。事件発生から73年以上が経過した現在でも、事件についての検証や支援が行われ、多くの新たな遺骨が見つかるなどの活動が行われています。

済州島四・三事件は、韓国の歴史における重要な痛みの記憶を伴う出来事であり、その真相解明と犠牲者の名誉回復は、今でも続く作業です。歴史を直視し、再発防止を訴える声が求められています。

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