渋谷ジァン・ジァン

小劇場 渋谷ジァン・ジァン

渋谷ジァン・ジァンは、東京・渋谷の日本基督教団 東京山手教会の地下に位置し、1969年から2000年までの長きにわたり営業していた小劇場です。この劇場は、収容人数200人未満というコンパクトな規模で、舞台の両側に観客席を配置する独特のスタイルを特徴としていました。そのため、観客との距離が非常に近く、俳優と観客の一体感が生まれる場所として、多くのアーティストたちに愛されてきました。

開館からの歴史

この劇場を運営していたのは、高嶋進というオーナーで、彼は1932年に新潟県で生まれ、青山学院大学文学部を卒業しました。まだ街灯もない公園通りに、1969年に渋谷ジァン・ジァンがオープンした際は、単なる劇場ではなく、新たな文化と芸術の発信地となる運命を秘めていました。1977年には名古屋ジァン・ジァン、1980年には沖縄ジァン・ジァン、1983年には座間味ジァン・ジァンが相次いで開店しました。

渋谷ジァン・ジァンでは、中村伸郎の一人芝居『授業』が11年間も上演されるなど、数々の名作が生まれました。また、出口典雄が主催したシェイクスピア・シアターでは、現代的な衣装を身にまとった若手俳優たちがシェイクスピア作品を上演し、多くの観客を魅了しました。その他にも、淡谷のり子や高橋竹山のライブ、永六輔のトークなど、多彩な演目が続けられました。

特に人気のプログラムでは、公演開始の数時間前から観客が座り込み、急いで席を確保しようとする光景が見受けられました。ここのコミュニティの熱意は、アンダーグラウンド芸術の重要性を示すものでした。1980年代まで、隣接する地下には演劇集団「安部公房スタジオ」があり、西武劇場を擁する渋谷パルコなどがあったため、ジァン・ジァンは渋谷公園通り一帯の文化的中心地として機能していました。

閉鎖の背景

しかし、時代の変化や経済の不況、さらには家主とのトラブルなど、様々な要因により、ジァン・ジァンは2000年4月25日に公演を終了し、静かにその幕を閉じることとなりました。閉館後、2012年に秋田市の繁華街には「ジァンジァンプチ」というライブハウスが開業し、この場所の文化を引き継ぐ形となりました。そのオーナーは、かつて同劇場で出演したシャンソン歌手で、渋谷時代のロゴを使用しています。

2017年には、元のジァン・ジァンのスペースにライブハウス「公園通りクラシックス」がオープンし、同時に東京山手教会の地下1階には「Cafe Miyama 渋谷公園通り店」が入ることになりました。

多彩なアーティストの足跡

渋谷ジァン・ジァンには、荒井由実、中島みゆき、吉田拓郎、井上陽水、浜田省吾、忌野清志郎など、数多くの著名なアーティストが出演しました。彼らはそれぞれの魅力を生かし、観客に深い感動を与えました。また、外国人の演者としては、ジュリエット・グレコなども訪れ、その国際的な色合いがこの劇場の特徴でもありました。

数々のアーティストがここから羽ばたき、その後のキャリアを築いていったことは、ジァン・ジァンの文化的意義を示すものです。特に、イッセー尾形の一人芝居や三遊亭圓丈の実験落語は、この場所で始まり、多くの人々に影響を与えました。

まとめ

渋谷ジァン・ジァンは、アンダーグラウンドの劇場として文化の発信地であり続け、数々の名作とアーティストの成長を見守ってきた場所として、今なお多くの人々の記憶に刻まれています。その余韻は、後の世代への影響を今でも与えていることでしょう。

関連書籍としては『ジァンジァン狂宴』があり、これに関する詳細は外部リンクで確認できます。

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