シェイクスピア・シアター

シェイクスピアシアターの概要

シェイクスピアシアターは、1975年に演出家の出口典雄によって設立された、日本の劇団です。この劇団は、シェイクスピアが残した全37作品の上演を目指してスタートし、革新的な演出を通じて多くの観客に感動を与えてきました。劇団の活動の特徴として、渋谷のジァン・ジァンを拠点に行った質の高い公演と、翻訳家小田島雄志とのコラボレーションがあります。

設立からの歩み

設立以降、シェイクスピアシアターは精力的に公演を行い、1978年には出口典雄が紀伊國屋演劇賞演出部門での個人賞を受賞しました。1981年には全37作品の上演を成し遂げ、これがひとりの演出家によるシェイクスピア全作品の上演が世界初となりました。この業績により、同年には紀伊國屋演劇賞の団体賞も受賞しています。

1985年には青山円形劇場でのこけら落とし公演として『十二夜』や『夏の夜の夢』など3作品を上演し、1990年代にも『アテネのタイモン』や『マクベス』など様々な作品に挑戦し、評価され続けました。また、1998年には東京グローブ座で『ヴェニスの商人』を上演し、主演の吉田鋼太郎が優秀男優賞を受賞するなど、劇団の名声は高まりました。

演出スタイルと影響力

シェイクスピアシアターの演出は、当時の日本の演劇界に新たな風を送り込みました。設立以前の日本では、文芸協会以来の模倣的な上演が主流でしたが、出口はGパンを衣装に用い、若者の感性を反映させた演技スタイルを採用しました。これにより、シェイクスピアをより身近に感じられる作品に変革しました。特に「Gパンシェイクスピア」として広く注目され、多くのメディアでも取り上げられました。

小田島雄志の翻訳も大きな影響を与えました。彼の手によるシェイクスピア作品の翻訳は、詩文と散文を区別し、より口語的かつ詩的に仕上げられており、役者がセリフをスムーズに覚える助けとなりました。このような革新的なアプローチは、シェイクスピアの作品が日本の演劇界に新たな形で受け入れられる一因となりました。

現在と未来

2012年からは、女性キャストによるシェイクスピア作品の上演が始まり、『ヴェニスの商人』や『リア王』などが上演されました。また、創立40周年記念公演が大きな話題を呼び、2020年には創立45周年を迎えた矢先に創設者が逝去しました。その後、劇団は有限会社としては解散を発表しましたが、今後も学校公演などを通じて活動を続けていく意向を示しています。

シェイクスピアシアターは、今後も様々な新たな挑戦を通じて、演劇界に寄与し続けることでしょう。

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