渋谷昇

渋谷昇について

渋谷昇（しぶや のぼる、1904年9月23日 - 1994年6月6日）は、広島県福山市出身の実業家および政治家です。彼は地域経済の発展に尽力し、数々の企業や社会事業を創立しました。福山市市議会議員としても活動し、地元の発展に寄与しました。

生い立ちと家族背景

渋谷昇は、広島県芦品郡有磨村（現在の福山市芦田町）に生まれました。彼は5人兄弟の末っ子として、裕福な家庭に育ちました。父は土建業者であり、地域の名家として知られていました。しかし、1919年に襲った大水害によって、家族の経済基盤は大きく揺らぎました。復旧作業が進められる中で再度の大水害が起こり、家族の財産は次第に失われていくこととなります。

渋谷は1920年に府中尋常高等小学校を卒業後、福山中学への進学を予定しましたが、家計の事情から商船学校に進学しました。しかし、持病の脱毛症により中退を余儀なくされ、実家の土建業を引き継ぐことになりました。

事業家への道

1930年に11歳年下の女性と結婚した後、1947年に福山市議会議員に立候補し当選しますが、1期で辞任することになりました。議員活動のかたわら、1947年に株式会社渋谷組を設立し、1948年には福山印刷株式会社も設立します。これが、後の福山地所株式会社や福山通運株式会社の始まりとなります。

1948年に設立した福山通運は、広島県福山市で運送会社の設備を譲り受けて誕生し、1970年には東証一部に上場しました。大型トラックの導入を進め、全国的な業者として成長し、創業当時から22年で年商530億円という大企業へと成長しました。

社会貢献と名誉

渋谷は、ビジネスの成功に留まらず、地域社会にも大いに貢献しました。1956年には紺綬褒章を受章し、以後、延べ15回にわたる表彰を受けた他、勲二等瑞宝章や正四位に叙せられるなど、社会的評価も高まりました。

教育の分野にも貢献し、1985年には財団法人渋谷育英会を設立して地域の教育発展を促進しました。また、1992年には福山通運渋谷長寿健康財団を設立し、地域住民の健康促進にも力を注ぎました。

文化事業への関与

1993年には、福山ニューキャッスルホテルの地下1階にしぶや美術館を開館しました。これは、彼が所蔵した美術品を地域に公開する場となりました。さらに、彼の死後には自宅が美術館として寄贈され、町の文化的な名所となりました。

結び

渋谷昇は、実業家としての成功と政治家としての活動を通じて、福山市の発展に多大な影響を与えました。彼の成し遂げた事業や社会貢献は、今なお地域に息づいています。彼の功績を偲ぶために、福山市内には多くの銅像が建立されています。渋谷昇の影響は、福山市だけでなく、日本全体に広がるものであると言えるでしょう。

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