渡辺一民

渡邊一民（1932年1月5日 - 2013年12月21日）は、フランス文学者、文芸評論家であり、立教大学名誉教授を務めました。

生涯

東京で生まれました。父親は日東製粉の幹部であった渡辺昇です。1955年に東京大学文学部仏文科を卒業後、1960年に同大学院博士課程を単位取得満期退学しました。その後、立教大学一般教育部の専任講師となり、1963年に助教授に昇進。1965年には文学部フランス文学科の助教授、1970年には教授となりました。1981年から1983年まで文学部長を務め、1982年には『岸田国士論』で亀井勝一郎賞を受賞しました。1997年に立教大学を定年退職し、同年、立教大学名誉教授の称号を受けました。前妻は酒匂秀一の娘です。

業績

渡邊一民は、フランス文学研究と文芸評論の両面で多大な業績を残しました。特に、ドレーフュス事件やフランス文壇史、近代日本の知識人に関する研究は高く評価されています。また、中島敦や武田泰淳といった日本の作家に関する評論も発表しています。

著書には、『神話への反抗』、『ドレーフュス事件 政治体験から文学創造への道程』、『文化革命と知識人』、『近代日本の知識人』、『フランス文壇史』、『西欧逍遥』、『岸田国士論』、『ナショナリズムの両義性 若い友人への手紙』、『林達夫とその時代』、『故郷論』、『フランスの誘惑 近代日本精神史試論』、『〈他者〉としての朝鮮 文学的考察』、『中島敦論』、『武田泰淳と竹内好』、『福永武彦とその時代』などがあります。

翻訳にも力を注ぎ、アポリネール全集やシモーヌ・ヴェイユ著作集、ミシェル・フーコーの『言葉と物』など、フランス文学や思想に関する重要な作品を日本に紹介しました。また、ジョルジュ・ベルナノスやレーモン・クノーなどの作品も翻訳しています。

渡邊一民の研究は、フランス文学の理解を深めるだけでなく、近代日本の精神史や知識人のあり方を考察する上で重要な貢献を果たしました。彼の著作や翻訳は、今日でも多くの読者に読まれ続けています。

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