渡辺兵四郎

渡辺兵四郎（わたなべ ひょうしろう）は、1846年4月16日に出羽国能代港（現在の秋田県能代市）で生まれ、1932年5月11日に生涯を閉じました。本名は佐助といいました。

少年時代は能代の商家で奉公に出ていましたが、1860年に小樽へ渡り、山田兵蔵商店で働き始めました。主人の信頼を得て、その一字を譲り受け、兵四郎と改名しました。

1877年に独立し、荒物商を始めました。その後、ニシン漁業に乗り出し、漁網の改良に成功しました。この技術革新は、北海道の漁業に大きな影響を与えました。さらに、漁業組合や水産組合を設立し、小樽郡漁業組合頭取、小樽外六郡漁業組合連合会長、小樽水産組合長などを歴任し、北海道水産業の発展に尽力しました。

実業家としての活躍に加え、公共の分野でも貢献しました。学務委員、徴兵参事員、小樽区会議員、北海道会議員、同副議長、同議長、小樽商業会議所会頭など、数多くの役職を歴任しました。1908年には衆議院議員に当選しましたが、選挙訴訟の結果、1909年に当選が無効となりました。その後、1912年から1916年まで小樽区長を務め、地域の発展に尽力しました。

渡辺兵四郎は、実業家、漁業家、政治家として、多岐にわたる分野で才能を発揮しました。特に、北海道の水産業の発展に貢献した功績は大きく、その名は後世に語り継がれています。

参考文献
北海道新聞社編『北海道歴史人物事典』北海道新聞社、1993年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
金子信尚編『北海道人名辞書』第二版、北海民論社、1923年。
人事興信所編『人事興信録』第4版、1915年。

もう一度検索