渡辺雄二 (ジャーナリスト)

渡辺 雄二

1954年に栃木県宇都宮市で生まれた渡辺雄二氏は、日本の科学ジャーナリストとして、特に消費生活にまつわる問題、食品添加物や環境汚染などに関する精力的な取材・執筆活動で知られています。

幼少期から学生時代

地元である宇都宮市の小中学校、栃木県立宇都宮東高等学校を経て、千葉大学工学部合成化学科で学びました。学生時代はスポーツにも打ち込み、中学1年から始めたバレーボールは高校でも継続。選手として高校関東大会に二度出場するほどの実力でした。高校卒業後、一年間の自宅浪人を経て千葉大学に進学。大学では文芸サークルに所属し、幅広い分野への関心を深めたようです。

キャリアの始まりとフリーランスへ

大学を卒業後、コンピュータソフト会社や自身で開いた学習塾の経営を経て、東京都内で発行されていた消費生活に関する専門紙に入社します。ここでは記者として、食品添加物、合成洗剤、バイオテクノロジー、原子力発電など、現代社会が抱える様々な問題について深く掘り下げた取材を行い、記事を執筆しました。これらの経験が、後のジャーナリスト活動の基盤となります。

1982年、所属していた専門紙を退社し、フリーランスの科学ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせます。

フリージャーナリストとしての活動と『買ってはいけない』

フリー転身後、渡辺氏は活動の場を広げ、「週刊時事」「朝日ジャーナル」「潮」「中央公論」「新潮45」「世界」「日刊ゲンダイ」といった著名な雑誌や新聞に寄稿するようになります。執筆テーマは多岐にわたり、エイズ、コンピュータ技術、バイオテクノロジー、食品添加物、合成洗剤、アレルギー、認知症など、科学技術や健康、環境に関わる幅広い分野をカバーしました。

特に注目を集めたのは、「週刊金曜日」での活動です。同誌に記事を執筆する中で、＜買ってはいけない＞と題したコラムの連載を開始します。このコラムでは、消費者が日常的に購入・使用する様々な商品について、含まれる成分の安全性や製造過程の問題点などを科学的な視点から厳しく検証しました。1999年5月、この連載コラムをまとめた単行本『買ってはいけない』が出版されると、内容の衝撃と啓発的なメッセージが大きな反響を呼び、200万部を超える異例のベストセラーとなりました。この一冊は、多くの消費者が食品や日用品の安全性について改めて考えるきっかけを与え、社会現象とも言える影響を及ぼしました。

その後の活動と主な著書

『買ってはいけない』の成功以降も、渡辺氏の執筆活動は衰えることなく続いています。食品の安全性をはじめ、環境問題、医療、健康など、消費者の暮らしに直結するテーマで多くの単行本、文庫、新書を精力的に発表しています。「食べてはいけない添加物」「使うなら、どっち!?」「ドラッグストアで『買ってはいけない』『買ってもいい』商品」といった著作は、現代社会における賢い消費のための指針として、多くの読者に読まれています。

科学ジャーナリストとしての長年の経験と、消費者視点に立った問題提起は、現代社会における様々な課題を明らかにし、人々の健康と安全な暮らしを守るための重要な役割を果たしています。

主な著書:

『食品汚染』
『不安なバイオ食品』
『人体汚染Q&A』
『これで安心！子どもの食事Q&A』(共著)
『子どもの危険』
『食べものがこわい』
『暮らしのエコ・チェックQ&A』
『アレルギー児が増えている』
『エイズは人類を滅ぼすか』
『検証・エイズの常識』
『エイズってなんだろう？』
『買ってはいけない』(共著)
『誰もがかかる化学物質過敏症』(絵:熊谷さとし)
『ヤマザキパンはなぜカビないか 誰も書かない食品＆添加物の秘密』(2008年)
『食べてはいけない添加物 食べてもいい添加物』
『コンビニの買ってはいけない食品 買ってもいい食品』
『体を壊す10大食品添加物』
『体を壊す13の医薬品・生活用品・化粧品』
『食べるなら、どっち!?』
『使うなら、どっち!?』
『40代から食べるなら、どっち!?』
『化学毒物マヒ』(2018年)
『スーパーで買ってはいけない食品ガイド』(2020年)
『子どもに「買ってはいけない」「買ってもいい」食品』(2020年)
『令和版 食べるなら、どっち!?』(2022年)
『新版 「食べてはいけない」「食べてもいい」添加物』(2023年)
* 『ドラッグストアで「買ってはいけない」「買ってもいい」商品』(2023年)

もう一度検索