渡邉妙子

渡邉妙子：日本刀学の先駆者

渡邉妙子（わたなべたえこ、1937年⟨昭和12年⟩ - 2024年⟨令和6年⟩2月24日）は、日本の刀剣学者として知られ、公益財団法人佐野美術館の理事長を務めました。彼女は、日本刀研究の先駆けとして「元祖刀剣女子」と呼ばれ、その活動は日本文化における重要な一環となっています。

経歴

渡邉は1937年に東京で生まれました。高校卒業後にいくつかの職を経て、大学進学を志し、慶應義塾大学文学部史学科で中世文化を専攻しました。1966年に同大学を卒業したものの、当時は学芸員の仕事がなかったため、文化庁が開館準備中の佐野美術館のオープニングスタッフとして雇われました。

日本刀との出会い

佐野美術館での開館準備中、渡邉は初めて日本刀に触れますが、その際に本阿弥日洲から「女が手にすると刀が錆びる」と言われたことが彼女に深いショックを与えました。日洲は刀の手入れについての知識を持つ人物であり、彼の言葉が渡邉の刀剣に対する姿勢を変えるきっかけとなったのです。

その後、渡邉は古刀の権威、本間順治に師事し、日本刀の手入れについて本阿弥家の伝統的な方法を学びました。この経験が彼女の刀剣研究における基盤を築くこととなり、彼女は日本刀の真髄に触れることができました。

佐野美術館での活動

1978年には副館長に昇進し、1987年には静岡県文化奨励賞を受賞するなど、彼女の功績は広く認められました。また、1994年から2015年まで静岡県文化財保護審議会の委員を務め、そのうち8年間は副会長を務めました。彼女の文化財保護への貢献は地域文化の振興にも寄与し、2019年度には地域文化功労者として表彰されました。

2000年には館長に就任し、2019年には理事長として活動を継続しました。

著書

渡邉は日本刀に関する多くの著書を残しました。著作には『日本刀は素敵』や『名刀と日本人: 刀がつなぐ日本史』があります。また、共著として『日本刀の教科書』や『三百年生きる木造美術館づくり』なども発表しています。これらの著書を通じて、彼女は日本の刀剣文化を広く伝えようと努力しました。

後の足跡

渡邉は2024年2月24日に86歳で亡くなりました。彼女の訃報は、佐野美術館の公式サイトや朝日新聞で発表され、多くの人々がその業績を偲びました。彼女の生涯は、日本刀学の発展だけでなく、文化財保護活動の重要性をも示すものでした。彼女の功績は、日本の文化と伝統を守る上で今後も語り継がれることでしょう。

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