本間順治

本間順治（ほんま じゅんじ）は、明治37年（1904年）4月16日に生まれ、平成3年（1991年）8月29日に生涯を閉じた、日本の刀剣学者です。文学博士の学位を持ち、薫山（くんざん）の号で知られています。山形県飽海郡（現在の酒田市）の出身で、酒田本間家という名家の血筋を受け継いでいます。

本間順治は、古刀研究における卓越した知識と情熱を持ち、その分野の権威として広く認められていました。彼の研究は、刀剣の歴史、技術、そして美学にまで及び、多くの研究者や愛好家にとって不可欠なものでした。また、本間美術館の初代館長として、貴重な刀剣コレクションの保存と公開に尽力しました。

略歴

1904年（明治37年）4月16日、酒田本間家（8代当主・本間光弥の甥）として誕生。
國學院大學を卒業。
国立博物館（現在の東京国立博物館）調査課長を務める。
1947年（昭和22年）、本間美術館の初代館長に就任。
1950年（昭和25年）、文化財保護委員会（現在の文化庁）美術工芸課長に就任。同時に、日本美術刀剣保存協会の設立に携わる。
1960年（昭和35年）、文化財保護委員会美術工芸課長を退任。日本美術刀剣保存協会の初代会長に就任。
1991年（平成3年）8月29日、逝去。

号の「薫山」の由来は、彼の独特な癖に由来しています。刀を見て納得した際に鼻をクンクンと鳴らす癖があり、それが文化財保護委員会の同僚から「クンさん」という愛称で呼ばれるようになったそうです。これが転じて「薫山」という号になったと、弟子の渡邉妙子（佐野美術館館長）が語っています。

主な著作物

本間順治は、数多くの著作を通じて、その研究成果を世に広めました。以下は、その主な著作物です。

著書
1939年（昭和14年） - 『日本刀』 岩波書店
1958年（昭和33年） - 『日本古刀史』 日本美術刀剣保存協会
1974年（昭和49年） - 『薫山刀話』 東京出版
1943年（昭和18年） - 『日本刀の話』 春陽堂文庫
1944年（昭和19年） - 『日本刀分類目録』 郷六貞治（編） 春陽堂
1979年（昭和54年） - 『名刀の見どころ極めどころ』 刀剣春秋新聞社
共著
1933年（昭和8年） - 『岩波講座日本歴史. 第10』 国史研究会（編） 岩波書店
1934年（昭和9年） - 『日本刀講座』（第3巻・第6巻・第9巻・第10巻） 佐藤貫一・他（著） 雄山閣
編纂
1935年（昭和10年） - 『名刀図譜』 大塚巧芸社
1936年（昭和11年） - 『国宝刀剣図譜』 岩波書店
1938年（昭和13年） - 『刀剣目録』 細川護立家政所
1943年（昭和18年） - 『光徳刀絵図集成』 本阿弥光徳（画） 便利堂
1948年（昭和23年） - 『名刀集美』 日本美術刀剣保存協会
1975年（昭和50年） - 『相州伝名作集』 大塚巧芸社
共編
1964年（昭和39年） - 『肥後金工大鑑』 佐藤貫一、加島進（編） 日本美術刀剣保存協会
1961年（昭和36年） - 『正宗とその一門』 佐藤貫一（編） 日本美術刀剣保存協会
校閲
1975年（昭和50年） - 『日本刀の話』 石井昌国（編著） 雄山閣出版
講述
1960年（昭和35年） - 『相日本刀の見どころについて』 大東急記念文庫
1964年（昭和39年） - 『刀華会講話 : 名刀のみどころ極めどころ. 第1集』 刀剣春秋新聞社編集局（編） 刀華会
1965年（昭和40年） - 『刀華会講話 : 名刀のみどころ極めどころ. 第2-3集』 刀剣春秋新聞社編集局（編） 刀華会
1968年（昭和43年） - 『刀華会講話 : 名刀のみどころ極めどころ. 第4集』 刀剣春秋新聞社編集局（編） 刀華会

本間順治の業績は、刀剣研究の分野において、かけがえのない遺産となっています。彼の研究は、今日においても刀剣の理解を深める上で重要な役割を果たしています。

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