渡部一二

渡部 一二（わたべ かずじ）: 日本の水辺研究の先駆者

渡部一二は1938年に北海道小樽市で生まれ、愛媛県で育ちました。建築家であり水辺研究家として知られ、多摩美術大学の名誉教授でもあります。また、農学博士号を持ち、日本全国の運河や用水路、水辺の空間デザインに関して長年にわたり研究を行ってきました。

学歴と経歴

彼は1965年に前橋工業短期大学（現・前橋工科大学）を卒業し、その後日本大学理工学部に進学。1967年に同大学の建築学科を卒業後、内井昭蔵建築設計事務所でキャリアをスタートさせました。その後、東京藝術大学の大学院に進学し、1972年に修士課程を修了しました。

渡部は都市計画コンサルタントの創造社で勤務しながら、多摩美術大学で専任講師として教鞭をとりました。1992年には同大学の教授に就任し、さらに東京農工大学より農学博士の学位を授与されました。彼の博士論文は「農業用水路の再生に関する多面利用形態と空間構造の研究」という題名でした。この業績により、水空間デザイン研究所も設立し、水環境に関する研究の推進に努めています。

主な業績

渡部の業績は多岐にわたり、特に公共の水辺空間や教育施設のデザインに関して数多くのプロジェクトを手掛けています。以下は彼が関与した主なプロジェクトの一部です：

• - 胆沢町立若柳小学校計画
• - 郡上八幡 水の町ポケットパーク
• - 神戸ポートアイランド博覧会 ハートピア館
• - 大町市 ポケットパーク計画
• - 川はともだち 八王子湧水ネックレス構想
• - 武蔵学園内濯川蘇生計画（東京都練馬区）

これらのプロジェクトはいずれも地域の特性や環境を考慮した水辺空間の創出を目指しています。

著作

渡部は自身の研究や実践を通じて、いくつかの著書を執筆しています。その中には次のようなものがあります：

• - 『生きている水路』（東海大学出版会、1984）
• - 『水網都市』（共著）（学芸出版会、1987）
• - 『水縁空間』（共著）（住まいの建築出版局、1995）
• - 『水路の親水空間計画とデザイン』（技報堂出版、1996）
• - 『建築と都市の水環境計画』（共著）（彰国社、1991）
• - 『江戸の川・復活』（東海大学出版会、2008）

これらの著書は、水空間デザインや水管理に関する知識を広める重要なリソースとなっています。

参考資料

渡部に関する研究や彼の視点については、以下の資料が参考になります：

• - 『プロセスアークテクチュア24号: 建築と水空間』
• - 『都市住宅7703: 水縁空間の構造』

その活動は、多様な分野での知見を融合し、現代の水環境の重要性を再認識させるものとなっています。彼の専門的な視点は、今後の水環境の設計や管理に大いに役立つことでしょう。

もう一度検索