胆沢町

岩手県胆沢町：歴史と自然が織りなす、奥州の原風景

胆沢町は、岩手県南部に位置し、奥羽山脈の一部である焼石連峰と北上高地に囲まれた扇状地を擁する町でした。2006年（平成18年）の市[[町村]]合併により、現在は奥州市の西部を形成しています。胆沢川が流れ、豊かな自然に恵まれたこの地域は、古くから人々が暮らしてきた歴史を刻んでいます。

地理：山々、河川、そして広がる平野

町の西部には、奥羽山脈の焼石連峰がそびえ立ち、東部には北上高地が広がっています。その間に広がる扇状地は、大きく南都田、小山、若柳の3つの地域に分けられます。胆沢川が町の中央を流れ、人々の生活を潤してきました。

胆沢川上流には、石淵ダムに代わり、国内最大級のロックフィルダムである胆沢ダムが完成しています。このダムは、地域の防災や水資源の確保に大きな役割を果たすと期待されています。

また、胆沢平野には、中世の東日本の農村を思わせる散居集落が広がっています。この散居集落は、富山県の砺波平野、島根県の出雲平野と並んで、日本三大散居集落の一つに数えられ、独特の景観を形成しています。

歴史的な史跡としては、平安初期に征夷大将軍坂上田村麻呂が蝦夷の阿弖流為を討伐するために築いたとされる胆沢城跡があります。ただし、この胆沢城は現在の水沢市に位置していたとされています。町内南都田には、国内最北に位置する前方後円墳である角塚古墳も存在し、古代の歴史を感じさせてくれます。

歴史：町村合併を経て奥州市へ

1889年（明治22年）の町村制施行により、小山村、南都田村、若柳村が誕生しました。その後、幾度かの合併を経て、1967年（昭和42年）に胆沢村は町制を施行し、胆沢町となりました。そして、2006年（平成18年）2月20日、水沢市、江刺市、胆沢郡前沢[[町]]、衣川村と合併して奥州市となり、胆沢町は歴史の幕を閉じました。

行政、教育、交通

胆沢町最後の町長は後藤完氏（1998年7月3日就任）でした。町内には、複数の小学校、奥州市立胆沢中学校、かつて存在した岩手県立胆沢高等学校（2010年閉校）などがあり、教育にも力を入れていました。

鉄道は通っていませんでしたが、最寄りのJR東日本東北本線水沢駅を利用していました。国道397号をはじめとする道路網が整備され、周辺地域とのアクセスも良好でした。

文化と自然：数々の百選に選ばれた魅力

胆沢町は、その美しい自然と歴史文化から、数々の百選に選ばれました。「水の郷百選」には「水と緑の散居の町」として、「水源の森百選」には「焼石連峰水源の森」として、「美しい日本のむら景観百選」には「南都田」として選定されています。これらの選定は、胆沢町の自然と景観の素晴らしさを証明するものです。

著名な出身者

胆沢町からは、小説家小野寺公二氏、騎手佐藤雅彦氏、ファッションモデル純恋氏、衆議院議員高橋嘉信氏、獣医師高橋勝四郎氏、ジャーナリスト千田善氏、実業家藤田和芳氏など、様々な分野で活躍する著名な人物を輩出しています。

終わりに

胆沢町は、豊かな自然と歴史に彩られた町でした。その歴史と文化は、奥州市の一部として受け継がれ、現在も人々の生活の中に息づいています。かつての胆沢町の姿を知ることで、奥州市の歴史と魅力をより深く理解することができるでしょう。

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