渥美かをる

渥美かをる：『平家物語』研究で知られる国文学者

渥美かをる（1911年～1977年）は、日本の国文学者です。愛知県で生まれ、東北帝国大学文学部国文学科を卒業しました。その専門は国文学、特に『平家物語』研究で著名な学者でした。

学位とキャリア

1939年に東北帝国大学を卒業した後、渥美かをるは愛知県立女子専門学校教授に就任します。その後、愛知県立女子短期大学、愛知県立女子大学、そして愛知県立大学と、教育の場において長く教授として活躍しました。彼女の専門知識と教育への貢献は、多くの学生の育成に繋がったことでしょう。

学術面での貢献も著しく、1962年には「平家物語の基礎的研究」によって東北大学より文学博士号を取得しています。これは彼女の『平家物語』研究における深い造詣と学問的業績の高さを示す重要な出来事でした。

また、1963年には中日文化賞を受賞しており、その研究の価値と社会への貢献が認められた証と言えます。これらの功績は、彼女が日本の国文学研究に多大な貢献をしたことを示しています。

家族と私生活

渥美かをるの夫は、名古屋市で区長や教育長を務めた渥美善三氏でした。彼女には、実業家であり著述家としても知られる渥美育子という娘がいました。家族もまた、社会的に重要な役割を果たした人物であったことがわかります。

研究と業績

渥美かをるは、『平家物語』に関する数多くの研究成果を残しました。代表的な著書には、『平家物語の基礎的研究』（三省堂、1962年）、『軍記物語と説話』（笠間書院、1979年）などがあります。後者は彼女が亡くなった後、出版されたものです。

さらに、多くの書籍の校注にも携わっています。その中には、岩波書店から刊行された『日本古典文学大系　平家物語』など、広く読まれている古典籍の校注も含まれます。これらの仕事は、古典文学研究において欠かせない役割を果たしており、後世に残る大きな功績となっています。

また、『平家正節』に関する研究にも取り組み、平家正節刊行会編『平家正節』（大学堂書店、1974年）、奥村三雄氏との共編著である『平家正節の研究』（大学堂書店、1980年）なども出版されました。さらに奥村家蔵氏と共編著した『当道座・平家琵琶資料』（大学堂書店、1984年）も出版されています。これらの研究は、『平家物語』を多角的に考察した重要な成果です。

渥美かをるは、1977年に66歳で亡くなりましたが、没後、瑞宝章を受勲しました。これは、彼女が国文学研究に貢献した功績を政府が認めた証です。彼女の研究は、現在でも高く評価されており、日本の国文学研究において重要な役割を果たし続けています。

まとめ

渥美かをるは、優れた研究業績と教育活動を通じて、日本の国文学、とりわけ『平家物語』研究に多大な貢献をしました。彼女の研究成果は、現代の研究者たちにとっても重要な参考資料であり、その功績は今後も長く記憶されるでしょう。彼女が残した著作は、これからも多くの読者によって読み継がれ、研究者によって分析され続けることでしょう。

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