温泉饅頭

温泉饅頭：日本の温泉地を代表する銘菓

温泉饅頭は、日本の温泉地で広く親しまれている伝統的な和菓子です。一口に温泉饅頭といっても、その歴史や製法、そして味には様々なバリエーションがあります。本稿では、温泉饅頭の概要から歴史、そして全国的な広がりについて詳しく解説します。

温泉饅頭の概要

温泉饅頭は、その名の通り温泉地で販売されている饅頭です。特徴的なのは、生地に温泉水を使用したり、温泉の蒸気を利用して蒸し上げたりする点です。しかし、実際には全ての温泉饅頭が温泉水や温泉蒸気を利用しているわけではなく、土産物として販売されているものも多いのが現状です。

温泉の成分、特に重曹分は、饅頭の生地をふっくらと仕上げるのに適しています。また、高温の温泉蒸気は、効率的な蒸し上げに役立ちます。これらの条件を満たす温泉は限られているため、温泉水や温泉蒸気を使用しない温泉饅頭も多いのです。

現在では、白や茶色の蒸し饅頭が一般的ですが、近年は多様なニーズに応えるため、様々な特色を持った商品も登場しています。温泉地を訪れた際には、お土産として、また旅の休憩として、温泉饅頭を味わってみてはいかがでしょうか。

温泉饅頭の起源と歴史

温泉饅頭の起源については、群馬県伊香保温泉が有力視されています。伊香保温泉の独特な湯の色をイメージした「湯乃花饅頭」が、温泉饅頭の始まりと言われています。1910年（明治43年）、伊香保電気軌道の開通を機に、神奈川県江ノ島電鉄の片瀬饅頭をヒントに開発されたと言われています。

この湯乃花饅頭は、黒糖を使用することで、伊香保温泉独特の茶褐色を再現しています。1934年（昭和9年）、昭和天皇が伊香保温泉を訪れた際に大量に購入したことがきっかけで、全国的に知られるようになりました。

その後、各温泉地で独自の温泉饅頭が作られるようになり、多くが伊香保の湯乃花饅頭に倣って茶褐色の饅頭となりました。伊香保温泉では、当初は源泉や湯の花を配合する試みもあったようですが、結果的に容易に入手できる黒糖が使用されることになったようです。

他方、草津温泉などでは、大正時代から温泉饅頭が作られており、最古の温泉饅頭店は1914年（大正3年）創業とされています。この店では、昭和初期まで草津白根山麓の香草温泉の湯を生地に使用していたと言われています。

さらに遡れば、江戸時代には熱海温泉で、温泉蒸気を用いて饅頭が作られていたという記録も残っています。ただし、これは土産物ではなく、主食として作られていたようです。

薄皮饅頭と温泉饅頭の普及

温泉地で名物となる菓子を開発する際に、薄皮饅頭が注目されたことは想像に難くありません。薄皮饅頭の成功例が、温泉饅頭の全国的な普及を後押ししたと考えられます。

まとめ

温泉饅頭は、温泉地で親しまれる伝統的な和菓子であり、その歴史は古く、様々な地域で独自の発展を遂げてきました。温泉水や温泉蒸気を用いたものから、土産物として販売されるものまで、多様な温泉饅頭が存在します。それぞれの温泉地の個性と歴史を反映した、多彩な温泉饅頭を味わうことで、日本の温泉文化の奥深さを知ることができるでしょう。

もう一度検索