港川人

港川人（Minatogawa man）

港川人は、約20000～22000年前に現在の沖縄県に所在した人類の一種である。この古代の人々についての発見は、1967年に始まり、沖縄県島尻郡具志頭村の港川にある石切場での発掘によって明らかになった。

発見の背景

発掘を行ったのはアマチュア考古学者の大山盛保で、彼は多くのイノシシの化石を見つけた後、翌年には人骨の断片を発見した。1970年には、男性1体と女性3体を含む4体の全身骨格を発見し、これは日本列島における最古の全身骨格の人骨であるとされる。これらの骨は東京大学の鈴木尚によって同定され、約2万年前から2万2千年前のものであると特定された。

身体的特徴

港川人の骨格を見ると、男性の身長は約155センチメートル、女性は144センチメートルと小型であり、下半身は筋肉質でしっかりした体型を持っていた。上半身に関しては華奢な印象を与えるが、握力や咀嚼力は強かったことが骨から確認されている。また、骨の内部に見られる「ハリス線」は、栄養不足や成長障害を示唆しており、彼らが厳しい生活環境にあった可能性を示す重要な証拠となっている。

港川人と縄文人の関連性

かつては、港川人の子孫が縄文人へと進化したと考えられていた。しかし2009年の国立科学博物館の研究によれば、港川人の顔の特徴は現在のオーストラリア先住民やニューギニアの集団に近いとされる。このことから、港川人の祖先は東南アジアやオーストラリアに広がった集団から来た可能性がある一方で、縄文人は異なる系統から進化したと考えられている。2021年には、港川人のミトコンドリアDNAが解読され、現代日本人や縄文人、弥生人とは異なる特性を持っていることが分かった。

沖縄の古代人骨

沖縄では、他にも古代の骨が発見されており、例えば1968年の那覇市で見つかった約3万2000年前の山下洞人などがある。また、港川遺跡からおよそ1.5km離れたサキタリ洞遺跡でも9000年以上前の人骨が発掘されており、これらの発見は港川人との関係を探る上での重要な手がかりとなっている。

展示と研究

沖縄県立博物館・美術館では、港川人に関する復元模型や頭骨の複製が展示されている。また、八重瀬町にある具志頭歴史民俗資料館には、港川人に関連したコーナーが設けられており、発掘に関する研究成果を一般に紹介している。

結論

港川人は日本列島の古代人類の中でも特異な存在であり、彼らの身体的特徴や遺伝学的な位置付けは、多くの研究を誘発している。彼らの存在は、日本列島の古代の人々のルーツを知るための貴重な手がかりである。

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