湯山賢一

湯山賢一（ゆやま けんいち、1945年 - ）は、日本の著名な古文書学者です。東京都に生まれ、古文書学の研究に生涯を捧げ、文化財の保護・研究に大きく貢献しました。

学歴と職歴

1968年に國學院大學文学部を卒業後、1972年に同大学院の博士課程を中途退学しました。その後、文化庁文化財保護部美術工芸課に勤務し、主任文化財調査官として日本の文化財保護に携わりました。また、京都国立博物館学芸課長、文化庁美術学芸課長、文化財鑑査官などの要職を歴任し、2005年から2017年まで奈良国立博物館館長を務めました。退任後は、神奈川県立金沢文庫文庫長、東大寺ミュージアム館長を歴任しました。

古文書研究への貢献

湯山賢一は、日本古文書学会会長も務め、古文書研究の発展に尽力しました。特に、古文書の料紙（ようし）や筆跡に関する研究に力を注ぎ、その分野における第一人者として知られています。料紙とは、古文書に使われる紙のことであり、その種類や材質、製造方法などを研究することで、古文書の年代や出自、文化的背景などを明らかにすることができます。また、筆跡の研究も古文書の鑑定や解読に不可欠であり、湯山賢一はこれらの研究を通じて、日本の歴史や文化の解明に大きく貢献しました。

著書と論文

湯山賢一は、数多くの著書や論文を発表しており、その研究成果は広く公開されています。代表的な著書としては、『古文書の研究 料紙論・筆跡論』（青史出版, 2017.3）があります。この著書では、古文書の料紙や筆跡に関する詳細な研究成果がまとめられており、古文書研究者にとって必読の書となっています。また、『東大寺文書を読む』（思文閣出版, 2001.6）、『文化財学の課題 和紙文化の継承』（勉誠出版, 2006.4）、『博物館資料論 新訂』（放送大学教育振興会, 2008.9）、『文化財と古文書学 筆跡論』（勉誠出版, 2009.3）、『古文書料紙論叢』（勉誠出版, 2017.6）など、共編著も多数あります。これらの著書を通じて、湯山賢一は古文書研究の重要性や面白さを広く伝え、後進の育成にも貢献しました。

文化財保護への情熱

湯山賢一は、古文書研究者としてだけでなく、文化財保護の専門家としても高く評価されています。文化庁での勤務や博物館長としての経験を通じて、日本の文化財の保護・保存に尽力しました。また、文化財の展示や公開を通じて、一般の人々にも文化財の価値や魅力を伝えることに力を注ぎました。湯山賢一の活動は、日本の文化遺産を未来に伝える上で重要な役割を果たしています。

湯山賢一は、日本の古文書学界における重要な人物であり、その研究成果と文化財保護への貢献は、今後も長く評価され続けるでしょう。

もう一度検索