思文閣出版

株式会社思文閣出版の概要

株式会社思文閣出版は、京都府京都市東山区に本社を構える出版社です。この会社は、主に2つの部門から成り立っています。一つは古書や古典籍の販売を行う「古書部」、もう一つは学術書の出版を担う「新刊事業部」です。出版社の理念に基づき、人文系や美術系の書籍を重視しており、特に絶版となったこだわりのある本や花道、歴史、国文学、芸術に関するオリジナル企画書の出版にも力を入れています。

通常のベストセラーを狙うことなく、そっと長い命を持ち続ける本を出版し続ける姿勢が一貫して見られます。所在地の同ビル内には、企画展を中心とする美術館「思文閣美術館」（2011年4月10日より休館中）が併設されており、また「ぎゃらりぃ思文閣」というギャラリーも運営しています。そして、年に2回発行されるPR誌「鴨東通信」も発行し、情報発信を行っています。

歴史と設立

1937年、書肆（しょし）思文閣として京都市下京区に開店しました。初代経営者が京都帝国大学の歴史学者・中村直勝と親交があったため、発音しやすい名前が付けられました。1967年に法人化され、1969年からは学術書や芸術書の出版もスタートします。1975年には出版部門が独立し、思文閣出版として新たなスタートを切ります。

1969年には、長年絶版となっていた『日本人名辞典』を復刊し、以後2007年までに約1万部を発行しています。この他にも、1981年からの「思文閣史学叢書」シリーズは50冊以上を数え、多くの読者に支持されています。特に、1993年には園田英弘の『西洋化の構造：黒船・武士・国家』が読書委員によって選ばれ、2006年には本山幸彦の著作が「今年の3冊」に選ばれるなど、数々の著作が評価されています。

受賞と著作

思文閣出版の書籍はさまざまな賞を受賞しており、1992年にはバーバラ・ルーシュの著書が女性史青山なを賞の特別賞を受賞しました。1994年には園田英弘がサントリー学芸賞、2004年には遠藤正治が徳川賞を受賞するなど、出版物の質が高いことを物語っています。近年では、2021年に中島楽章の著書が特別賞を受賞し、出版の多様性と研究の深さが更に評価されました。

主な刊行物

思文閣出版からは、様々な重要な著作が世に送り出されています。中でも《禅語辞典》は、入矢義高の監修のもと、古賀英彦によって編著されたものとして広く認知されています。このほか、数多くの専門書や芸術書も出版されており、出版社の特色を色濃く表しています。

以上のように、株式会社思文閣出版は、深い歴史を持ちつつ、今もなお学術書や古典籍を通じて文化的な貢献を続けている出版社です。

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