湯村辰二郎

湯村辰二郎（ゆのむら たつじろう、1892年11月6日 - 1974年）は、朝鮮総督府において要職を歴任した官僚です。

生い立ちと初期の経歴

湯村辰二郎は、1892年（明治25年）に宮城県伊具郡角田町（現在の角田市）で、宮城商業銀行頭取を務めた湯村保治の二男として生を受けました。1916年（大正5年）には東京帝国大学法科大学独法科を卒業し、翌年には高等文官試験に合格しました。若くしてその才能を発揮し、官僚としての道を歩み始めます。

朝鮮総督府での活躍

1918年（大正7年）に朝鮮総督府試補となった湯村は、その後、道事務官、総督官房会計課長、土地改良課長事務取扱、土地改良部開墾課長といった要職を歴任しました。1927年（昭和2年）には欧米各国へ出張し、現地の状況を視察しました。帰国後は、忠清北道内務部長、殖産局農務課長、農林局農務課長、同農産課長を歴任し、朝鮮の殖産、農林行政に大きく貢献しました。

1935年（昭和10年）には咸鏡南道知事に就任し、地方行政を担いました。その後、京畿道知事を経て、1937年（昭和12年）には農林局長に就任しました。農林局長時代には、朝鮮における農業の発展に尽力しました。

退官後の活動

1941年（昭和16年）に退官した後は、朝鮮蚕糸株式会社社長、国民総力朝鮮連盟常務理事を務めました。退官後も、朝鮮社会において重要な役割を果たしました。

親族

妻の父は松寺竹雄。松寺竹雄は、朝鮮総督府法務局長・朝鮮総督府高等法院検事長を歴任した人物です。

湯村辰二郎は、朝鮮総督府において多岐にわたる分野で活躍し、その行政手腕を発揮しました。彼の業績は、日本の統治下にあった時代の朝鮮における社会、経済の発展に大きな影響を与えたと言えるでしょう。

参考文献

『輓近大日本拓殖史』日本行政学会、1934年。
帝国秘密探偵社編『大衆人事録 第12版』帝国秘密探偵社、1938年。
帝国秘密探偵社編『大衆人事録 第14版』帝国秘密探偵社、1943年。
人事興信所編『人事興信録 第12版（下）』人事興信所、1939年。

もう一度検索