湯浅

湯浅：醤油醸造発祥の地、時を超えた町並み

湯浅は、和歌山県有田郡湯浅町に位置する市街地であり、国の重要伝統的建造物群保存地区としてその名を知られています。この地は、中世に遡る醤油醸造の発祥地として、また近世以降は有田地方の政治経済の中心地として栄えてきました。

多様な産業が育んだ歴史

醤油と金山寺味噌の醸造が盛んであることはもちろん、漁業や熊野参詣道の伝馬所としての役割も担い、多様な産業が発展しました。山田川の河口近く、北町通り、浜町通り、中町通り、鍛冶町通り沿いには、伝統的な建造物群が今も残り、往時の面影を伝えています。

東西約400m、南北約280mの保存地区には、醤油・味噌醸造業関係の町家や蔵など、現役で使われている古建築が数多く存在します。昔ながらの手作り製法で醤油や味噌の醸造が続けられているため、近代的な工場は見当たらず、商業的な観光地化もされていないため、町全体が前時代の雰囲気を色濃く残しているのが特徴です。

町並みの変遷

中世の湯浅の旧市街地（湯浅城城下町）は内陸に位置していましたが、現在保存地区として選定されている海辺の市街地は、安土桃山時代に開発されたと伝えられています。また、熊野古道が近世以前の市街地を通る唯一の区域でもあります。

域内の見どころ

保存地区内には、以下のような見どころがあります。

湯浅醤油角長の職人蔵：江戸時代末期、慶応2年（1866年）に建てられた醤油仕込蔵。
湯浅醤油資料館
麹資料館
大仙堀：醤油を船積みした掘割。
熊野古道せいろミュージアム：古道に面する町屋の櫺子格子にせいろを取り付け、古民具や詩歌を展示。

近隣には、以下の寺院もあります。

深専寺：奈良時代に行基が創建したとされる寺院。本堂は1663年に建立され、県指定有形文化財となっています。山門前には「大地震津なみ心え之記碑」（1856年制作、県指定史跡）があります。
満願寺

重要伝統的建造物群保存地区データ

地区名称：湯浅町湯浅伝統的建造物群保存地区
種別：醸造町
選定年月日：2006年12月19日
選定基準：伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持しているもの
面積：6.3ha
所在地：和歌山県有田郡湯浅町大字湯浅字北町、北浜町、北中町、北鍛冶町

アクセス

JRきのくに線 湯浅駅 徒歩10分

湯浅は、その歴史的な背景と美しい町並みによって、訪れる人々を魅了し続けています。醤油の香りに包まれながら、時を超えた旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。

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