湯窪幸雄

湯窪幸雄：日本の競馬界を彩った名騎手、名調教師の生涯

湯窪幸雄氏は、1950年11月9日、鹿児島県姶良郡牧園町（現在の霧島市）で生まれた。実家は湯窪牧場という馬の生産牧場を経営しており、幼い頃から馬に囲まれた環境で育った。この環境が、彼を競馬の世界へと導くことになる。高校時代、父親の計らいで競馬の馬術試験を受験し、合格。これが、彼の騎手としての道を決定付ける出来事となった。

騎手時代：挫折と再生

1968年3月、湯窪氏は上京し、栗東トレーニングセンター所属の柏谷富衛調教師に師事。1970年3月1日、京都競馬場でのデビュー戦を迎える。同年4月には初勝利を飾るなど順調な滑り出しを見せるが、同年6月、札幌競馬場の練習中に落馬事故に遭い、重傷を負ってしまう。長期にわたる入院とリハビリ生活を余儀なくされ、復帰後も試練は続く。師匠である柏谷富衛調教師が飛行機事故で急逝するという悲劇に見舞われたのだ。

師を失い、所属していた厩舎も閉鎖されたため、湯窪氏は複数の厩舎を転々とすることとなる。しかし、彼は決して諦めなかった。転厩後も安定した成績を残し続け、1990年、1867戦141勝という輝かしい戦績を残して騎手生活に幕を閉じた。

調教師時代：新たな挑戦と成功

騎手引退後、湯窪氏は調教助手として約10年間研鑽を積んだ後、2000年に調教師免許を取得。2001年3月、念願の自身の厩舎を開設する。調教師としての初勝利は、2001年3月31日、阪神競馬場の障害未勝利戦だった。

その後、数々の名馬を育て上げる。シンコールビー（2003年フローラステークス）、メモリーキアヌ（2004年愛知杯）、エムエスワールド（2012年京都ハイジャンプ、小倉サマージャンプ）、カフジテイク（2017年根岸ステークス）など、彼の指導の下で多くの競走馬が重賞レースを制覇した。息子の湯窪貴幸氏も調教助手として厩舎を支えていた。

2021年2月28日、阪神競馬場でのラストランをもって、調教師を引退。長年にわたる競馬界への貢献に幕を下ろした。引退時には厩舎に所属していた22頭の競走馬は他の厩舎へと移籍した。

湯窪幸雄氏の功績

湯窪幸雄氏は、騎手として1867戦141勝、調教師として4543戦269勝という素晴らしい成績を残した。数々の重賞競走を制覇した名馬を育成し、日本の競馬界に多大なる貢献をした。彼の指導力と情熱は、多くの関係者に深く刻まれている。騎手時代、調教師時代を通して幾多の困難に直面しながらも、持ち前の粘り強さと努力で成功を収めた彼の半生は、多くの人々に勇気を与え続けるだろう。

騎手時代主な勝鞍

シクラメン賞（現 シクラメンステークス）(1986年、ラッキーオーシャン)

調教師時代主な重賞優勝馬

シンコールビー（2003年 フローラステークス）
メモリーキアヌ（2004年 愛知杯）
エムエスワールド（2012年 京都ハイジャンプ、小倉サマージャンプ）
* カフジテイク（2017年 根岸ステークス）

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