満野荷州

満野 荷州（みつの かしゅう）

満野荷州は、江戸時代に活躍した武士であり儒学者です。彼は通称代右衛門・新兵衛とされ、名を順、号を荷州または予斎として知られています。肥前蓮池藩の士族に生まれ、藩校成章館において教授職を務めたほか、藩主鍋島直与の侍講としても活動していました。彼は藩主から高く信任され、政治の重要な課題に対する諮問も受けていました。

生涯と背景

満野荷州は、蓮池藩士である満野家に生まれました。彼の兄、大五郎もまた、寛政期に著名な学者・尾藤二州の門下で学び、その後成章館の都綱兼訓導として活躍しました。荷州は兄の死後、家に戻り、養子となった藤崎弥太左衛門の家庭に戻りましたが、実子が生まれたことにより荷州は実家に帰り、家を継ぎました。藩の許可により、一族は荷州に家を継がせ、兄の子供を養育しました。

荷州は、江戸にある昌平黌で古賀精里や尾藤二州に学びました。彼の学識は高く評価され、後に古賀精里の長男で佐賀本藩の儒者である古賀穀堂と親しい関係を築きました。

また、弘化3年（1846年）10月23日、麻布の藩邸にて亡くなりました。その遺骸は龍土町の深廣寺に埋葬され、遺髪は蓮池の浄国寺境内に葬られ、墓碑が建立されました。訃報を受け、藩校成章館は3日間授業を停止するほど、彼の死は大きな影響を与えました。

職歴と活動

荷州の職歴は多岐にわたり、文化9年（1812年）に藩主の井内南涯と共に奥羽旅行に出発し、日光や米沢、会津、仙台、松島を巡った後に江戸に戻りました。続いて彼は文化10年には成章館の教授及び相談人に任命され、文化12年には世子の侍講任に就任しました。その後も度々藩主の参勤に従い、江戸への赴任を繰り返しました。

彼は文政8年に永世侍の称号を得て、以降も藩の重要な行事や葬礼に関与しました。特に直与の婚礼や葬礼については補助を務め、その信任の厚さが伺えます。また、天保年間においても多くの重任を歴任し続け、任務遂行に努めました。

天保13年に60歳を迎えた際には祝いの宴が開かれ、直紀から贈り物がありました。さらに、弘化元年には相談人を兼任し、直紀の補佐にあたるなど、常に藩のために尽力しました。

人物と評価

満野荷州は、その学識の高さから藩外からも評価され、一度招かれましたが、病を理由に辞退しました。これは『蓮池藩日誌』において「儒者の名に恥じざる、実に人の模範というべし」と称賛されています。また、彼に送られた詩も数多く残っており、友人たちとの交流が彼の人間性や信頼を物語っています。

特に藩主鍋島直与から贈られた詩は、荷州の還暦を祝うものであり、彼の人柄と功績を称賛する内容となっています。こうした詩は、荷州がその時代において如何に人々から尊敬と愛情を受けていたかを物語っています。

満野荷州の生涯は、藩士としての誠心と学者としての志を貫いたものであり、彼の影響は今もなお多くの人々に受け継がれています。

もう一度検索