満願寺 (宇和島市)

満願寺の紹介

満願寺（まんがんじ）は、愛媛県宇和島市津島町にある臨済宗妙心寺派の寺院です。本尊として祀られているのは聖観音菩薩で、この寺院は南予遍路道の重要な地点にあたる場所です。

歴史的背景

満願寺は、旧街道である宿毛から宇和島に至る道沿いに位置しています。この地区では、海岸ルートが整備されていなかった時代に、参拝者たちは観自在寺を目指し、山越えをして峠を越え、岩松川を経て宇和島へと向かっていました。また、修験者たちは篠山観世音寺を訪れる際に、御内を通りこの寺に至る経路を選択していました。江戸初期には無住の時代がありましたが、宇和島の仏海寺の湛巌和尚によって禅宗として復活しました。

真念の道指南に記された詩には、「様々な願いをここに満願寺仏が叶えてくれることよ」との歌があります。このように、多くの信仰を集める寺院としての歴史を有しています。

伽藍の概要

満願寺の伽藍は、信徒が本尊を拝むことができる本堂や、大師像を祀る大師堂、薬師堂、さらには戦没者を慰霊するための位牌堂や庫裡も構えています。また、訪れる方々のための駐車場も完備されています。寺への入り口には簡素な門があり、上がって左手に大師堂、正面には薬師堂があります。さらに、大師堂の前には二重柿があります。

文化財と特徴

満願寺にはいくつかの重要な文化財があります。愛媛県指定の有形文化財には、木造の観世音菩薩坐像があります。これは昭和43年3月8日に指定され、高さは90cmで、平安時代中頃に作られたものです。薬師堂の本尊である木造薬師如来坐像も同様に指定され、高さは102.5cmで、こちらも平安時代中頃に造られた一木造りの像です。その表情は丸顔で鼻が短く、口をとがらせた独特のもので、粗豪で地域色豊かな作風が特徴です。

さらに、愛媛県指定の天然記念物である二重柿は、昭和23年10月28日に指定されており、空海がこの地を巡めいていた際に杖を立てたことが根付いたと伝えられています。この柿は「親と子が仲良くなるように」という歌詞とともに語り継がれ、子宝をもたらす木として信仰されています。樹高は10m、根回りは2.8mになります。

また、宇和島市に指定された有形文化財として青銅鏡や七条のけさが存在します。

結論

満願寺はその歴史的な背景や文化財の価値において、地域の信仰の中心として重要な役割を果たしてきました。訪れる人々にとっては、心を落ち着け、願いを込める特別な場所と言えるでしょう。

もう一度検索