観自在寺

観自在寺について

観自在寺（かんじざいじ）は、愛媛県南宇和郡愛南町に位置する真言宗大覚寺派のお寺で、平城山（へいじょうざん）または薬師院（やくしいん）とも呼ばれています。四国八十八箇所のうちの40番札所にあたることから、巡礼者には特に親しまれています。特筆すべきは、その本尊である薬師如来であり、重要な霊場とされています。

観自在寺は、第一番札所から最も離れた地点に位置しているため、古くから「四国霊場の裏関所」として知られています。この寺院が持つ歴史の深さは、訪れる人々にとって大きな魅力となっており、特にその霊験は強いとされています。

歴史の概要

寺の伝承によると、観自在寺は平安時代初期の大同2年（807年）に平城天皇の勅願によって、名僧空海（弘法大師）によって開創されたとされています。空海は一本の霊木から本尊の薬師如来、脇持の阿弥陀如来、十一面観世音菩薩を彫刻し、寺を設立しました。この際、病気を治すための祈願として「南無阿弥陀仏」と彫ったという話があります。この彫刻によって作られた版木の宝印守は、参拝者が購入できるアイテムとなっています。

平城天皇は、寺に「平城山」の勅額を授け、さらには一切経や大般若経を奉納したことも伝えられています。すなわち、毎年勅使を遣わして護摩供の秘法を修し、寺の繁栄を支えました。その後、寺は江戸時代初期（1638年）に京都の空性法親王によって再度訪れ、薬師院の名を受けたことがあります。さらに宇和島藩主の伊達宗利の勅願所ともなりました。

しかし、かつては七堂伽藍を有していたものの、火災により多くの施設を失った経緯もあります。延宝6年（1678年）に再建されましたが、昭和34年（1959年）には再度の失火で本堂が焼失し、昭和39年に新しく本堂が再建されます。また、大師堂については平成5年（1993年）に新たに建てられました。

境内の見どころ

観自在寺の境内には数多くの文化財や観光スポットがあります。まず、入山する際に目に入るのが「山門」（仁王門）で、総欅造りであることが特徴的です。その後、本堂へと進むと、50年に一度開帳される秘仏である本尊が鎮座します。

また、大師堂では毎年6月15日に大師像が公開されるなど、多くの参拝者が訪れます。回廊には四国八十八ヶ所からの御土砂が敷かれ、外壁には3枚の大師像レリーフが施されています。その他、エリア内には石造心経宝塔や寶聚殿八角堂などさまざまな施設が点在しており、訪問者に深い信仰の場を提供しています。

境内には十二支守本尊や平城天皇の遺髪塔も存在し、多くの文化財が指定されています。特に、山門は愛南町の有形文化財としても評価されています。

交通の便利さ

観自在寺へのアクセスは、「土佐くろしお鉄道 宿毛線」の宿毛駅から約18キロの距離で、バスを利用する際は宇和島バス「平城札所前」で下車することができます。また、国道56号線からのアクセスも良好です。駐車場は20台収容可能であり、観光の際にも便利です。

このように、観自在寺はその深い歴史、文化、そして美しい境内によって多くの人々に愛されている寺院です。訪れることで、静かに内なる平和を見つけることができるでしょう。

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