準惑星候補の一覧

準惑星候補とは、準惑星である可能性のある天体のことです。太陽系には、準惑星がいくつ存在するか正確にはわかっていません。エッジワース・カイパーベルトには約200個、さらに遠方には10,000個以上存在すると推定されています。

しかし、多くの準惑星候補の密度が非常に低いことを考慮すると、実際の数はこれよりも少なく、現在知られている天体の中ではおそらく9個程度であると考えられています。国際天文学連合（IAU）は、天体が準惑星として分類されるためには、その天体が静水圧平衡の状態にある必要があるとしています。特に、小惑星帯のケレス、太陽系外縁天体の冥王星、エリス、ハウメア、マケマケの5つを準惑星として認めています。

準惑星の基準

準惑星と認められるための基準として、天体が太陽の周囲を直接公転していることに加え、自身の重力によって剛体に打ち勝つだけの質量を持ち、静水圧平衡（球体に近い形状）になっている必要があります。しかし、天体がこの基準を満たしているかどうかを直接判断することは難しいのが現状です。

観測されるのは、主に太陽系外縁天体（TNO）の直径やアルベドの推定値です。直径1,500km程度の氷衛星は静水圧平衡に達していないことがわかっています。また、太陽系外縁部の暗い天体は密度が低く、固体ではない場合や、重力が支配するほど質量がない場合も多く、準惑星とは言えないこともあります。

ケレスと他の小惑星

組成に氷を多く含むケレスは、小惑星帯で唯一準惑星と認められています。2番目に重い小惑星ベスタは、内部が分化しているように見えるため、過去には静水圧平衡の状態にあったと考えられていましたが、現在では否定されています。3番目に重い小惑星パラスは、表面が不規則で内部も完全に分化していないと考えられています。マイケル・ブラウンは、岩石天体は氷天体よりも硬いため、直径900km未満の岩石天体は静水圧平衡に達しておらず、準惑星ではない可能性があると推定しています。

静水圧平衡の条件

探査機による観測結果から、氷衛星は直径200～400km程度で静水圧平衡に達すると推定されています。しかし、ミマス（直径400km）やプロテウス（直径410～440km）などの氷衛星を比較した結果、直径が1471kmのイアペトゥスでさえ、現在の自転速度では静水圧平衡の状態ではないことがわかってきました。したがって、重力測定の結果、静水圧平衡状態と一致する最小の天体は直径1528kmのレアであると考えられています。

ただし、直径950kmのケレスは、ほぼ静水圧平衡の状態にあるものの、形状のずれはまだ説明されていません。地球の月や水星など、はるかに大きな天体も完全に静水圧平衡の状態にはありません。

TNOの密度と組成

直径900～1000kmの中型TNOは、冥王星などの大型天体よりも密度が低く（1.0～1.2g/ml）、これは主に氷で構成されているためと考えられています。しかし、中型TNOが氷である一方で、小型や大型の天体が岩石であるというメカニズムや進化経路は解明されていません。水の氷がこのサイズの物体の内部空間を支えるのに十分な強度を持っていることが示唆されており、中型のTNOは、自身の重力で完全に固体に圧縮されていないと考えられています。

タンクレディの評価

ゴンサロ・タンクレディは、光度曲線振幅分析と直径の計算に基づいて、46個の準惑星候補を評価しました。その結果、15個の準惑星（IAUが認めた4個を含む）と、9個の準惑星の可能性のある天体を特定しました。また、IAUに対し、セドナ、オルクス、クワオアーを正式に準惑星として認めるよう勧告しましたが、IAUは応答していません。

ブラウンの評価

マイケル・ブラウンは、推定サイズに基づいて130個の太陽系外縁天体を準惑星である可能性があると考え、以下のように分類しました。

ほぼ確実: 直径が900kmを超える天体。静水圧平衡である可能性が高い。
可能性が非常に高い: 直径が600kmを超える天体。主に岩石で構成されていない場合に準惑星の可能性がある。
可能性が高い: 直径が500kmを超える天体。測定の不確実性がある。
おそらくそうである: 直径が400kmを超える天体。氷で構成されていれば準惑星の可能性がある。
可能性がある: 直径が200kmを超える天体。氷衛星との比較から、準惑星である可能性がある。
おそらくそうではない: 直径が200km未満の天体。準惑星である可能性は低い。

ブラウンの「ほぼ確実」のカテゴリには、Gonggong、クワオアー、セドナ、オルクスなどが含まれています。

Grundyらの評価

Grundyらは、400～1000kmの範囲の暗く低密度のTNOは、小さい多孔質の天体と、大きい高密度で区別可能な天体（準惑星など）の中間にあると提唱しています。この範囲の天体は、形成時に残った空隙がまだ完全には崩壊していない可能性があります。このサイズの天体の密度が低いのは、自身の重力下で固体に圧縮されていないためであると考えています。

Grundyらは、完全な固体に圧縮されている天体は少なく、冥王星、エリス、ハウメア、Gonggong、マケマケ、クワオアー、オルクス、セドナなどが準惑星の有力候補であると示唆しました。また、600～700kmが内部の空隙を維持するための上限である可能性を示唆しています。

最も可能性の高い準惑星候補

IAU、タンクレディ、ブラウン、Grundyらの評価を総合すると、直径700kmを超える16個の天体が準惑星の候補として挙げられます。IAUは命名目的で準惑星を承認しており、質量が0.5×10^21kg以上、直径が800km以上の天体は通常静水圧平衡にあると推定していますが、すべての境界例は観測によって判断する必要があると述べています。

サイズや質量が測定された準惑星候補

直径が600km以上あると測定された太陽系外縁天体は、ブラウンの評価では「可能性が非常に高い」準惑星とみなされます。Grundyらは、600kmから700kmが「実質的な内部空隙空間を保持するための上限」である可能性を示唆しています。この範囲を超える天体の衛星、カロンとディスノミアも含まれています。以下は、準惑星候補のリストです。

太字: 推定直径が900kmを超える天体。準惑星であるという一般的なコンセンサスがある。
推定直径が700kmから900kmの天体。準惑星の可能性が境界線上にある。
推定直径が700km未満の天体。準惑星である可能性は低い。
薄い灰色：密度が1.5g/cm^3を超える場合もそうでない場合もある天体。
濃い灰色：密度が低いことが知られている天体。準惑星である可能性はない。
ピンク色：衛星であり、準惑星ではない天体。

最も明るいサイズまたは質量が未測定の候補

サイズや質量が測定されていない天体のサイズは、アルベドを仮定することによってのみ推定できます。準惑星天体のアルベドは低い傾向があるため、推定されるサイズは比較的大きくなります。

脚注

これらの評価は、今後の観測や研究によって変更される可能性があります。

外部リンク

NASA JPL Small-Body Database Search Engine
TNOs are cool public database
How many dwarf planets are there in the outer solar system? (Mike Brown)
Details on the dwarf planet size calculations (Mike Brown)
Which are the Dwarfs in the Solar System? Tancredi, G.; Favre, S. Icarus, Volume 195, Issue 2, p. 851–862.

もう一度検索

準惑星候補の一覧