溶解破錠

溶解破錠：鍵穴を溶かして開ける危険な手法

溶解破錠とは、王水などの高濃度無機酸を混合した液体を鍵穴に注入し、シリンダー内部の構造物を溶解させて開錠する手法です。別名メルティング、もしくはKGB破錠とも呼ばれ、その高い破壊力と手軽さから、犯罪に悪用される危険性が高まっているため、注意が必要です。

開錠のプロセス

この方法は、鍵穴に直接酸性液体を注入するだけでは液体が流れ出てしまうため、事前に高分子吸収剤を鍵穴に挿入し、この吸収剤に酸性液体を染み込ませて保持させることから始まります。一般的には、カルボキシメチルセルロースナトリウム系の高分子吸収剤が使用され、自重の数十倍から数百倍もの液体を吸収できるため、シリンダー内部に十分な量の液体を保持できます。

酸性液体がシリンダー内部に保持されると、ディスクタンブラー構造のシリンダー錠を構成する金属部品が徐々に溶解し始めます。数分という短時間でタンブラーが完全に溶解するケースもあれば、完全に溶解しきらないまでも、強度や機能が失われ、内筒に回転力をかけることで開錠に至るケースもあります。

狙われるディスクタンブラー式シリンダー錠

溶解破錠は、特にディスクタンブラー式シリンダー錠に対して有効です。このタイプのシリンダー錠は、ピッキング等の無傷解錠に対し脆弱な構造であることが知られており、過去にはピッキング被害が社会問題となり、製造中止となった製品も存在します。しかし、現在流通しているロータリーディスクシリンダー錠や類似のディスクタンブラー式シリンダー錠も、溶解破錠の前には無力です。

手軽さゆえのリスク

溶解破錠は、ピッキングなどの特殊な技術を必要としません。溶液を鍵穴に注入するだけの簡単な操作で開錠できてしまうため、犯罪者にとって非常に魅力的な手法と言えるでしょう。音も発生せず、作業時間も短いことから、犯行現場の特定が困難となり、警察の捜査を困難にする要因となります。

溶解破錠を防ぐためには

溶解破錠による被害を防ぐためには、ディスクタンブラー式シリンダー錠の使用を避けること、高セキュリティの鍵システムを導入することが有効です。また、不審な人物や行為を発見した場合には、速やかに警察に通報することが重要です。

まとめ

溶解破錠は、その手軽さと高い破壊力から、犯罪に悪用される危険性が高い手法です。ディスクタンブラー式シリンダー錠を使用している場合は、特に注意が必要です。セキュリティ対策を強化し、犯罪の温床となることを防ぐためにも、この手法に関する正しい知識を持つことが重要です。

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