漂流幹線000

漂流幹線000（The Drifting Express 000）

松本零士による『漂流幹線000』は、1980年に『週刊少年キング』で連載を開始した日本の漫画作品です。この作品は、松本が『銀河鉄道999』の連載を終了した後に発表された次作として注目を集めました。連載当時、少年画報社は発行部数が減少しているため、松本は新しい作品を早急に必要としていました。

作品背景

松本零士は、1980年1月から『新竹取物語 1000年女王』を同時に連載しながら、1981年10月に『銀河鉄道999』を終了しました。彼は『1000年女王』に集中し、傑作を作りたいと考えていました。しかし、少年キングの危機的な状況は彼に新作の執筆を強いるものでした。『漂流幹線000』はこうして誕生しましたが、作品の連載が始まると同時に『少年キング』は急速に発行部数を落とし、最終的には休刊に至りました。コミックスは全4巻が「ヒットコミックス」から刊行され、後に復刻版も出版されましたが、いずれも現在は絶版です。

なお、この作品はアニメなどのメディアミックス展開はされなかったものの、主人公である平田静子は、ゲーム『松本零士999 〜Story of Galaxy Express 999〜』やWEBドラマ『ユマの物語』に登場しています。

あらすじ

物語は、中学生の大山大を中心に展開します。彼は東京都郊外に住む少年で、病弱な両親と厳格な教育方針に縛られ、叔父夫婦の元で生活しています。並行して複数のアルバイトをしながら、生計を立てています。ある日、大は不思議な夢を見ます。それは、空中を走る列車から落ち、車窓から彼の名前を呼ぶ声を聞くというものでした。見知らぬ列車に乗り込むことで、彼は奇妙な世界に入り込むことになります。

次の日、大はいつも通り学校へ登校しますが、帰宅途中に目にしたのは、見たことのない近未来的な駅です。13時13分発の特急「000」が発車し、大はそれに乗り込んでしまいます。この旅が彼の運命を大きく変えていくこととなります。

登場人物

大山大（おおやま だい）

大は、漂流幹線のホームに迷い込み、以降毎週土曜日に「000」に乗ることになります。両親に厳しい教育を受けながらも、正義感が強く、時には突飛な行動に出ることもあります。彼の外見は『銀河鉄道999』の星野鉄郎に似ており、生活が厳しい中でも成長していく姿が描かれます。

平田静子（ひらた しずこ）

大の担任教師であり、豪胆な性格を持つ彼女は、生徒たちの支持を受けつつも、問題行動を起こすことが多いです。大とは実は親戚で、密かに特別な感情を抱いています。

メイビス

大の前に現れるガイド役。彼女の登場は物語のキーとなり、彼女の存在がもたらす謎や試練が大の成長を促します。彼女は静子によく似た美しい容姿を持ち、物語に重要な役割を果たします。

その他のキャラクター

物語には、メイビスの妹たちや大のクラスメート、教師など、多くの個性的なキャラクターが登場します。彼らはそれぞれ独自の背景や目的を持ち、大の冒険に共鳴し合います。

結論

『漂流幹線000』は、松本零士の独特な世界観とキャラクターたちが織りなす幻想的な旅を描いています。物語は友情や冒険、成長をテーマにし、大の旅がいかに彼自身を変えていくのかを探求します。若い読者だけでなく、さまざまな世代のファンに愛され続けている作品です。

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