演歌なアイツは夜ごと不条理な夢を見る

演歌なアイツは夜ごと不条理（パンク）な夢を見る

『演歌なアイツは夜ごと不条理な夢を見る』は、1992年6月25日から7月23日まで日本テレビで放送されたテレビドラマである。この作品は、日本テレビ製作の深夜ドラマ枠『劇的空間（ドラマティック・スペース）』の中で全5回にわたり放送された。また、2006年10月にはバップからDVDも発売されている。

概要

物語の中心となるのは、マジシャンのダーク五郎と彼の腹違いの妹・広子が「夫婦マジシャン」として全国を回る姿である。二人は、ある日、五郎のかつての弟分を名乗る司から依頼を受け、場末のポメレンケ劇場にやってくる。この劇場は新興暴力団・田亀組が支配している地域にあり、五郎はそこでさまざまな奇跡を起こしながら、無気力に暮らす人々に希望をもたらそうと奮闘する。

特色

本作は、通常のテレビカメラ映像に加え、8ミリフィルム映像や紙芝居風のイラスト、写真、字幕などが頻繁に挿入されており、この手法が独特の雰囲気を生んでいる。これは、松尾スズキによる脚本が非常に情報量が多いために考案されたと思われる。当時まだ若かった大人計画のメンバーが多く出演しており、特に阿部サダヲが司役として抜擢されたことが話題となった。これは、温水洋一が病気で出演できなかったための偶然の人選であった。

このドラマでは、ドラッグ、セックス、新興宗教、悪徳商法、近親相姦など、現代のテレビでは扱うのが難しいテーマが多く描かれている。例えば、線路の上に散乱する死体のシーンや、アダルトビデオの映像など、過激とも言える描写が展開される。

キャスト

• - ダーク五郎：竹中直人
• - 広子：田中ひろ子
• - 司：阿部サダヲ
• - 虫明良一：山崎一
• - 国武錦一：吹越満
• - ジャック義雄：三谷昇
• - 江口：井口昇
• - 冷泉羊太郎：伊藤ヨタロウ
• - 水森：早川サブリナ
• - マスター霞：霞涼二
• - 田亀：佐古雅誉
• - 黒木：林和義
• - 城太郎：渡辺城太郎
• - 猿吉：西田康人
• - 壺井：松尾スズキ
• - マリ：秋山菜津子

スタッフ

この作品のスタッフには、企画の和田康をはじめ、松尾スズキが脚本と出演を担当している他、宮藤官九郎、藤田秀幸、青木すみれらも参与している。特に、音楽を手がけた東京ブラボーの楽曲には、視聴者の心を掴む印象的なメロディが散りばめられている。エンディングテーマにはSEXの「Sleeping In The Cloud」が使用されており、作品の雰囲気とも調和している。

備考

ドラマ中では、司が借りてきたアダルトビデオの中に江口役の井口昇が実際に出演するシーンもある。このビデオのタイトルは「愛奴浣腸」であり、また、原作名義には楽太郎の名があるものの、実質的には大塚恭司によるオリジナル企画としての側面が強い。大塚は作品を展開する過程を振り返り、「瞬間的に出てきたアイデアから物語が生まれた」と語っている。

このように、形式や内容の両方で斬新なアプローチを試みたこのドラマは、視聴者に新しい体験を提供し、今なお多くの人々の記憶に残る作品となっている。

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